女性・生活者の視点で 危機管理アドバイザー・国崎信江氏2020年2月13日
25年前の阪神・淡路大震災、9年前の東日本大震災、その後の熊本地震や北海道胆振東部地震、そして昨今の台風や大雨による被災と、日本列島は相次いで大規模な自然災害に見舞われている。人間の智慧と力で抑え込んだかに見えた自然災害だが、人びとの気の緩みと“驕り”で、防災力が低下したようだ。そうした反省に立ってか、今年になってJAグループや共済関係団体などで「正しく恐れ、正しく備えを」(全労済協会)とシンポジウムや講演会が開催れ、JAcomでも掲載してきたが、今回はJA全国女性大会での国崎信江氏の講演要旨をお伝えする。
「防災は地域の繋がりが大切」と強調するのは、危機管理教育研究所代表(危機管理アドバイザー)の国崎信江さん(写真)。
1月23日、JA全国女性大会で、「助け合いで地域を守ろう」のテーマで講演した。特に同代表は、女性や生活者の視点から家庭や地域の防災のあり方に触れ、「究極のときに日ごろ地域の活動に参加しない人を助けられますか」と問いかけた。
最近の大きな自然災害による犠牲者は老齢者が多く、行政の職員だけでは要配慮者を支援することが難しくなっている。国崎代表は「これからの災害対策は元気な高齢者にも活動してもらい、女性も積極的に防災にかかわることが重要」と指摘する。
高齢者の犠牲が多かった西日本豪雨(岡山県倉敷市真備町で)
特に災害直後は行政などの「公助」に期待できないことから、「共助」による対策が求められる。その一つが安否の確認で、住民は自宅の被害状況や避難の意向を自ら自治会や町内会の「班長」に知らせることが重要になる。また避難の時は、隣近所に声掛けする。特に聴覚障害者や睡眠導入剤で寝ている人などを想定した対応が求められる。
次に避難所での生活。国崎代表はここで、「住民の自主運営と女性の主体的な参画が重要」と、女性の役割の重要性を強調する。具体的には避難所運営で、男性と女性のリーダーを配置し、女性が主体的に活動する環境づくりが必要と指摘。
避難の判断や、隣近所への呼びかけは行政の指示を待っていては逃げ遅れる恐れがあり、国崎代表は「行政が守ってくれるという行政依存や情報・指示がないと行動できないという情報依存ではなく、災害がいつ発生しても自分の生命やくらしを守る自立した防災力をつけよう」と呼びかけた。
そのためには、女性が主体的に関心を持つ社会的な取り組みが必要で、防災のイベントなどに企画・参画を促すことが重要。こうした活動で地域の繋がりを深めることで、いざというとき助け合う「共助」が生まれる。国崎代表は「遠くの親戚より近くの他人。頼りは地域のコミュニティだ」と、自治会や町内会などへの積極的な参加を促す。
なお、「自助」に関して国崎代表は、地震など大規模災害の際「自宅滞留」を前提に「家庭内流通備蓄」を提案する。つまり、食材を消費したらその分を買い足し、常に一定量を確保しておく。このほか、同代表は、案外見過ごされているが被災直後、あって便利なものにガラスの破片などを片付ける掃除道具と、閉じ込められた人を助ける際のバールを挙げる。
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