「シイノコキクイモムシ」ラン加害を確認 静岡研病害虫防除所2020年10月13日
静岡県病害虫防除所は10月8日、同県中部地域の洋ラン生産ほ場で「シイノコキクイモムシ」を確認したと公表した。同県で発生が確認された生産者は発表時点で1戸のみ。
シイノコキクイムシ成虫 (体長約1.7mm)
枯死したバルブ今年8月中旬、静岡県中部地域の洋ラン生産ほ場において、バルブに直径1mm弱の円形の孔が開き、その上部が次第に褐変。やがて枯死する被害が西部農林事務所を介して報告された。加害されたバルブ(写真1参照)から成虫のキクイムシが見つかり、農林水産省名古屋植物防疫所清水支所に同定を依頼した結果、9月7日にシイノコキクイムシ(Xylosandrus compactus)と診断された。 加害植物は国内ではチャ、ハナミズキやアジサイ等で本種の加害が報告されており、海外ではアボカドやコーヒーの害虫として、アメリカではランへの加害報告がある。国内のランへの食入加害は、平成24年に愛知県のカトレアで発生が確認されて以来2例目となる。
雌成虫は体長が1.3~1.7mm、短い円筒形で光沢をもつ黒色または暗赤褐色。同属のハンノキキクイムシに酷似するが、それに比べ体が小さく、上翅後半部の溝には毛列をそなえること等で区別される。
野外では各種広葉樹を加害し、年2回発生する。7~8月に第1世代幼虫、8~9月に第2世代幼虫が現れる。成虫が加害樹の孔道内で越冬する。越冬後、6~7月には孔道を出て飛翔分散して、新たな広葉樹の枝などを穿孔し孔道をつくる。
主な被害に関しては、成虫は孔道内にカビ(アンブロシア菌)を持ち込み、ふ化した幼虫は増殖したカビを食べて生育する。穿孔された枝幹は、それにより上部が枯死し多発すると枝枯れ症状を呈する。 防除対策としては、食入孔が見られるバルブは見つけ次第除去し処分する。現在、洋ランにおける本種に対する登録農薬はないとしている。
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