持続可能で強靭な食料システム確保を-G20農相大臣会合2021年9月21日
G20農業大臣会合が9月17日から18日かけてイタリアのフィレンツェで開催された。会合では食料システムの持続性と強靭性の確保、飢餓ゼロ目標達成に向けた持続可能な農業開発などを議論し、「誰一人取り残すことなく」すべての人に食料と栄養を確保する食料システム確保にコミットすることを盛り込んだコミュニケを採択した。
イタリア・フィレンツェで開かれたG20農業大臣会合(写真提供:農林水産省)
今回の会合では▽持続可能な食料システムの確保、▽飢餓ゼロ達成に向けた協働、▽持続可能性を促す原動力としての研究開発などが議題となった。日本からは野上浩太郎農相が参加した。
野上農相は、これらの課題に対して、環境負荷を軽減しつつ、食料システムの持続可能性に向けた戦略づくりが重要であるとして、日本は「みどりの食料システム戦略」を策定したことを紹介した。
そのうえでとくに持続性ある食料システムの確立には▽イノベーションやデジタル化を促進すること、▽「バランスの取れた食生活」を推進すること、▽課題解決は各国・地域の気候風土に応じた対応をすることが重要だと指摘した。
また、すべての施策は科学的根拠に基づく必要があり、そのためのエビデンスの充実が重要であること、G20各国の戦略策定や取り組みの推進によって、国連食料システムサミットやCOP26にも貢献できるなどを述べた。
会合ではG20農業大臣コミュニケを採択した。
「誰一人取り残すことなく全ての人々のための食料安全保障と栄養を確保し、持続可能で強靭な食料システムを確保することをコミットする」ことや、気候変動の原因、影響への対処、食料システムのデジタル技術への投資、2030年までの食料廃棄の半減、差別のない多国間貿易システムの重要性などを盛り込んだ。
G20農相会合は、食料価格乱高下に対処するため2011年6月にパリで初めて開かれた。その後、2016年に中国が議長国を務めた会合から定期会合となった。
昨年は新型コロナウイルス感染のパンデミックを受け4月に臨時会合を開き、▽生産資材の供給を含むフードサプライチェーンの機能維持、▽輸出規制など不当な制限的措置の回避とWTOルールに基づく措置の重要性を訴えた「新型コロナウイルス感染症に関するG20農業大臣声明」が採択された。
【G20農業大臣コミュニケの概要】
<総論>
・誰一人取り残すことなく、全ての人々のための食料安全保障と栄養を確保し、持続可能で強じんな食料システムを確保することをコミットする。
・持続可能で強じんな食料システムが食料安全保障と栄養にとって重要で、健康的でバランスの取れた食生活、貧困の撲滅等に寄与することを認識し、異なる地域の状況、文化、歴史、生産システム、消費形態及び伝統を考慮する。
<気候変動>
2030アジェンダやパリ協定へのコミットメントを強調し、持続可能かつ強じんな食料システムの促進に取組み、気候変動の原因及び影響にも対処する。
<投資促進>
食料システムを変革しうる革新的な技術に携わるスタートアップ企業や中小企業への投資を促進し、農業におけるデジタル変革、及び農業者への知識の伝達の重要性を強調する。
<食品ロス>
2030 年までに、世界の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、生産とサプライチェーンにおける食料の損失を削減するというコミットメントを再確認する。
<ワンヘルスアプローチ>
農業及び食料安全保障への生物学的脅威を防止・削減・管理するために、ワンヘルスアプローチを実施するとのコミットメントを再確認する。
<貿易>
農業・食品貿易が食料安全保障と栄養へ貢献するよう円滑に行われるためには、WTOルールに整合的で、開かれた、透明性のある、予測可能な、かつ差別のない多国間貿易システムが重要であることを強調する。
<食料システムサミット>
国連食料システムサミットを歓迎し、すべての利害関係者に対して本プロセスへ貢献することを呼びかける。
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