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高嶋光雪『米と小麦の戦後史』 「胃袋からの属国化」暴く労作 令和の米騒動にも深い示唆2025年6月23日

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長く絶版になっていた高嶋光雪『日本侵攻 アメリカ小麦戦略』がこのほど、『米と小麦の戦後史』と改題され、ちくま学芸文庫から上梓された。過剰化した小麦を日本に売り込むためのアメリカの巧みな工作とその「成果」を暴いた調査報道の結晶は、約半世紀後の「令和の米騒動」にも深い示唆を与える。

高嶋光雪『米と小麦の戦後史』 「胃袋からの属国化」暴く労作 令和の米騒動にも深い示唆

自然現象ではない「米の需要減」
田んぼすべてで主食用米を作れば大幅な供給過剰になって米価が暴落する。米の需要は毎年減っていくのだから、それに合わせて生産を減らさなければならない。

当初は減反、その後は生産調整を支えたのは、そうした理屈だった。所得補償がほぼない現状では、生産調整は全否定できない。ただ、「米の需要は毎年減っていく」のは自然現象ではない。

食生活が洋風化し、国民があまり米を食べなくなったとも言われ、それも間違いではないが、食生活の「洋風化」も「米を食べなく」もアメリカの小麦売り込み戦略の「成果」だったことを、本書で高嶋氏は、アメリカと日本での徹底取材であぶり出す。

半世紀の時を超え「このタイミングで」
本書の原著、『日本侵攻 アメリカ小麦戦略』が家の光協会から出されたのは1979年(もとになったNHK特集が放送されたのはその前年)だ。半世紀近くも前だが、内容は今読んでも、というより今こそ新鮮だ。

著者の高嶋氏に文庫化を勧めた筑摩書房の藤岡泰介氏は「日本の食料自給率の低さが長らく問題になる中、ウクライナ戦争で飼料価格が高騰しました。その背景にあるのが、高嶋さんが書いた『アメリカ小麦戦略』だと考え、このタイミングで文庫化したいと考えました。発行後は幸い、着実に売れています」と話す。

キッチンカーと学校給食の秘密
1970年にNHKに入局し農林水産番組部に所属した高嶋氏は、本書の元になったNHK特集「食卓のかげの星条旗」など多くの番組を手掛けた。本書も、そうした番組をもとにまとめられている。

たとえば全国を回り、小麦と大豆を使った献立を普及したキッチンカー。「国民の栄養改善」を大義名分とする厚労省の施策だったが、予算はアメリカから出ていた。PL480という公法にもとづく「アメリカ農産物の海外市場開拓」の一環だった。キッチンカーと並んで「ご飯からパンへ」を進めたのが学校給食だった。

「米を食べるとバカになる」
アメリカ小麦戦略の成功にとって重要だったのは、それに呼応した日本側の動きである。

大学医学部教授が米を叩き、「米を食べるとバカになる」というパンフレットが小麦食品業界の手で大量に配布され、全国紙も1面コラムで米食を非難する。

アメリカ的生活が輝いて見えた時代背景を割り引いても、よくもまあこんなデタラメがまかり通ったものだと驚かされるが、パンを食べようという「粉食大合唱」が、工業製品の輸出拡大や農村からの労働力調達を望んだ「総資本の選択」でもあったとの指摘は慧眼といえる。

本書は、文庫版に寄せた解説で鈴木宣弘東京大学特任教授が説くように「アメリカによる『胃袋からの属国化』のレールにまんまと乗せられてきた」プロセスを描いた傑作ドキュメントである。

アメリカの戦略は今に続く
本書が描く「アメリカ小麦戦略」とそれに呼応する日本側の動きは「過去の話」とは言えない。むしろ小麦からトウモロコシやカリフォルニア米にまで、広がりをみせている。

関税を振り回し農産物輸入拡大を迫るトランプ政権と、「備蓄を減らせ」と唱える財政審。政府の米びつを空にして緊急輸入さえ口にする農相――。その意味を知り、今度こそ正しい選択をするために、時宜を得た一石だろう。

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