資材高騰による値上げ 消費者の8割「許容」 ポケマル調査2022年8月19日
生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」を運営する(株)雨風太陽は8月17日、生産資材高騰についての生産者と消費者の意識調査結果を発表した。消費者の約8割が資材高騰による農産物の値上げを「許容できる」と回答した。
調査はポケットマルシェ登録の生産者236人と消費者1074人を対象に実施した。
生産者の83.5%が2022年は前年比で10%以上生産コストが上昇したと回答し、このうち30%以上上昇したと回答した生産者は33.1%となった。
生産資材の高騰にともなって、直販で販売価格を値上げしたか、値上げをする予定があるとの回答は58.2%で4割は「据え置き」だった。生産資材価格が10%以上上昇しているとの回答は8割を超えたが、値上げに踏み切ったのは6割弱に留まっている。
値上げ率は10%以上15%未満が44.6%ともっとも多く、平均値は12.6%だった。
直販に限らず全般として生産コストの上昇を価格に転嫁しやすいかを聞いたところ、「転嫁しづらい」が82.0%となった。
その理由は「消費者の理解が得られない」が最多で41.5%、次いで「農業者の価格交渉の機会が少ない」が18.1%だった。
登録生産者からは生産資材の高騰について「一次産業の衰退と農業者の急激な減少があるかもしれない。新規就農もハードルが上がる。食料供給事情の悪化が危惧されるのではないか」、「自分で価格設定できる直売やECはいいとしても、市場販売ではコスト増分を反映できない。零細事業者は生産量を縮小するか、廃業のあり得る」など、危機感を訴える声も寄せられている。
同社はサプライチェーンにおける生産者と消費者の分断が価格転嫁を阻む要因の1つと分析する。
一方、消費者への調査では92.9%が食料品価格の上昇を実感している結果だった。
資材価格の高騰で農産物(一次生産物)の価格が上がったとしたら許容できるかを聞いたところ「許容できる」が77.3%と約8割を占めた。
許容可能な値上げ率は「10%以上20%未満」が42.5%、次いで「10%未満」が38.3%だった。
同社は生産資材価格の高騰による生産コストの上昇をふまえて、生産者の現状を伝える情報発信とともに、生産者が値上げについて消費者に伝える際の生産者向けヘルプページの新設や、販売価格を変更した生産者を講師にした勉強会なども開いていくという。
ポケットマルシェは2022年8月時点で約7000名の農家と漁師が登録。約1万6000品が出品されている。生産者と直接やりとりしながら旬の食べ物を買うことができる。
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