農政:JAは地域の生命線 国の力は地方にあり 農業新時代は協同の力で
【鼎談】「地域活性化」へ共に歩む JA糸島×糸島市×稲作農家(下)2016年10月12日
TPPは情報開示を
農を軸に豊かさ維持
糸島市長・月形祐二氏
JA糸島組合長・中村俊介氏
元全国稲作経営者会議会長・井田磯弘氏
――本来のテーマ「JAは地域の生命線―農業新時代は協同の力で」に移ります。まず、中村組合長から順に語って頂きたいと思います。
中村 我がJAは昭和37年に日本で初めて郡単位の12JA・2連合会が合併した歴史を持っています。一貫して生産・販売JAであり、「農業所得の増大」「農業生産の拡大」は当然の事として実践してきました。この延長線上として「地域の活性化」に貢献してきたと考えています。今さら、政府がどうこう言うことではありません。むしろ、農業所得が減少した、農業生産が縮小した原因はグローバル化を推進し、農産品の輸入自由化に歯止めをかけなかった政府にあると考えています。農業=生命産業ですから、消費者に対する「食」の安全性を提供するためにJA直営の直売所「伊都菜彩」を平成19年に立ち上げ、今では売上高40億円にせまる日本一の直売所に成長しています。さらに、学校給食への地場産品の提供は15年以上続けています。政府が言うように准組合員の利用制限などに振り回されるのではなく、今後も、地域の皆さんとともに「地域の活性化」に貢献していこうと考えています。政府がいう規制緩和による「地方の創生」とは質的に異なるものと思っています。
◆ ◇
井田 私は、前に述べたように米麦一筋に生きてきました。昭和60年、3ha以上の稲作経営者に呼びかけて「糸島稲作経営研究会」を設立しました。当時、事務局をJA糸島が受けてくれました。「稲作経営研究会」という組織は全国農業会議所系統ですが、事務局をJAが持っているのは全国でもJA糸島だけです。当時の組合長は今の中村組合長のお父さんでした。平成26年には30周年式典を開催し、『糸島稲作経営研鑽の軌跡~福岡糸島稲作経営研究会30年史~』も出版しました。設立以来、一線をおきながらも互いに共存関係で歩いてきました。この間、両者が共存関係であった要因は、JAの懐の深さと言ってもいいでしょう。
例えば、「会員は米の独自販売をしているものも多いが、検査は差別なくJAが実施」「平成4年10月から始まった特別栽培米の対応では、このままでは各自勝手に独自販売に走ることを心配して部会設立の提案をしたところ、全国でいち早く特別栽培米農家と消費者との橋渡しを食管法時代であったにもかかわらず表明した」等々です。平成8年には農地保有合理化法人(当時)に指定されて、利用権設定なども行っています。
稲作農家にとって農地は命です。人は夜逃げしますが、農地は夜逃げしません。だから、私たちは土着人として地域で頑張る以外にないのです。政府が言うように規制緩和によって「地方が創生」するとは思えません。農地に関しても、株式会社が規制緩和によって権利を取得できる特区が制定されていますが、時間が立てば不在地主として農地が荒廃すると思います。さらに、米政策が変わりすぎます。これが最も不満です。今後も、JAと一線を画しつつ協同しながら農業新時代に向かっていこうと考えています。
◆ ◇
月形 本市は全国的に注目される都市になってきました。その要因は農業を中心とした自然の豊かさを維持していることにあると感じています。JA糸島は、地域の農業の中枢を支える、かけがえのない存在です。地域農業の継続的な発展には、食料の生産はもちろん、それを支える農村の活性化が必要です。
JA糸島が、農業はもちろん農業を取り巻く幅広い分野で活躍し、発展していくことは、糸島市の活性化にもつながります。
今後、組織内部で十分に議論と自己改革を重ねていただき、農業者にとってよりよい組織づくりが行われ、地域農業に貢献していただくことを大いに期待しているところです。
――ありがとうございました。
・【鼎談】「地域活性化」へ共に歩む JA糸島×糸島市×稲作農家 (上) (下)
・【現地ルポ】糸島市(福岡県) ビジョン掲げ実践 "地産地消"を重視 協同組合間協同を核に
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