地域の食品廃棄物を活用 安全な飼料で育ったアンガス牛を地元名産に 宮北牧場2021年10月20日
北海道北広島市の合名会社宮北牧場は10月16日、食品廃棄物を活用した安全な国産飼料で育ったアンガス牛を使ったステーキ用と焼き肉用の新製品を同社ホームページのオンラインショップで発売した。
北広島市にある宮北牧場(左)、北海道北広島産ブラックアンガス牛のステーキ用リブロース
日本国内では年間約612万トン(2017年度推計値)の食品廃棄物が発生しており、国内の食品廃棄物は、外食産業と食品製造業だけでも3分の1以上。特に食品製造業では、加工の際に出る不要な部位や返品で廃棄されるものが大多数を占める。
こうした中、宮北牧場は、地域の食品廃棄物を有効利用し廃棄を減らす仕組み作りに取り組んできた。それまで年間多額の費用をかけて廃棄していた1000トン以上のジャガイモの皮をコロッケ製造会社から回収し、アンガス牛の飼料に加えるほか、醤油工場の搾りかす、豆腐工場のおから、地元農家からは規格外の野菜などを回収。また、ビール工場からはビールの搾りかすも回収しており、酵母菌を含む搾りかすを混ぜて発酵させると、牛には消化しやすい良質な飼料になるという。
さらに、畜産の廃棄物である牛糞は、地元の稲作農家で良質な堆肥として利用。その農家からは、育てたコメの廃棄物であるもみ殻を回収し、アンガス牛の寝床として利用している。このように、宮北牧場のある地域では周辺の食品工場から出る廃棄物を有効利用。極限まで廃棄物を減らす仕組みを作り、飼料も国産100%にすることで、畜産業の廃棄物も「持続可能な有効利用の仕組み」に組み込みながら牛肉製品を作っている。
宮北牧場は、約20年前のBES問題をきっかけに、「地産地消と安全な国産飼料100%へのこだわり」という目標のもと新たな時代の持続可能な畜産を開始。その結果、牧草や北海道産子実コーンなど国産飼料と、地域の食品廃棄物の有効利用に行き着いた。地域の取り組みには、北広島市とも連携し、製品は北広島市のふるさと納税の返礼品に選定。また、同市農政課とは「地域のSDGs活動」に取り組んでいる。
今年2月には農林水産省、消費者庁、環境省が主催する「あふの環(わ)2030プロジェクト」で、パルシステムの一員としての活動が認められ、サステナアワード2020 SDGs賞を受賞。農家との協力体制やその肉質の良さも評価されている。
地道な取り組みから生まれたアンガス牛の製品は、生産量が限られていることから、通常は宮北牧場のホームページでのみ販売。北海道北広島産ブラックアンガス牛の「ステーキ用」は、ヒレ(200g×1)2000円、リブロース(200g×1)1900円、サーロイン(200g×1)2100円。「焼き肉用スライス」は、肩ロース(200g×1)1480円、モモ・ウデ・バラのミックス(250g×1)1280円。価格は税込。
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