動物と人間がともに暮らす地球環境 大人の動物園の楽しみ方 パルシステム連合会2026年2月26日
パルシステム連合会と生活協同組合パルシステム神奈川は2月11日、よこはま動物園ズーラシアで「大人の遠足!よこはま動物園ズーラシアで学ぶ ~知る・考える・行動する、今こそ私たちの出番~」を開催。動物園職員の講演と利用者との意見交換から、人と動物が暮らす地球環境を守るため一人ひとりができることを考えた。
登壇した村田さん(中央)伊藤さん(右から2番目)河瀬さん(右端)
イベントは、「生命の共生・自然との調和」を目指すよこはま動物園ズーラシアとパルシステム連合会、パルシステム神奈川が協力して開催。園長の村田浩一さんと飼育員伊藤咲良さんの講演、パルシステム神奈川常任理事の河瀬亜希さんが加わったクロストークを会場の41人とオンライン配信で218人が視聴した。
村田さんは、動物園の役割と変遷を説明。「行楽のレクリエーションに加え、環境教育や種の保全、環境保護、調査研究の役割がありますが、動物の観察で自分のライフスタイルを見つめ直し、再創造するリ・クリエーションが重要」と語った。
動物園は、古代エジプトや古代中国にもあり、ヨーロッパで発展した。当初は、城の中で貴族のみが鑑賞できる施設だった。ロンドンで動物園が開園した頃から、動物学の研究を基盤とする園が世界に広まり、鑑賞に加えた役割が展開していく。
1867年、江戸幕府から一吏員として派遣された田中芳男が「第2回パリ万国博覧会」で、楽しんで学ぶ動物園を目の当たりにする。日本でも学問を基盤にした施設の構想が進み、今日の動物園になった。
国際組織「世界動物園水族館協会(WAZA)」の説明では「動物愛護の考えが広まると、『動物園不要論』が高まりましたが、対話を重ね、種の保全と個体の幸せを重視する方針に転換。現在は地球環境への対策も戦略に盛り込み、次世代に伝える役割も位置付けられ、発展している」と歴史を振り返る。
村田さんは、「動物園から社会を変えていく」とのビジョンを掲げ「動物園は良い環境を次世代につなぎ、国内外で姿を消しつつある動物を生物多様性保全の観点から守る必要がある」と思いを述べた。また、「ヒトも動物で、暮らす環境を守るべき。子どもたちに自然の大切さを伝え、多くの人々が動物園を支える文化を作る」と抱負を語った。
温暖化が追い込むホッキョクグマの現状も
伊藤さんは、ホッキョクグマの食事や子育てを飼育員の視点で話した。メスの「イッちゃん」と2024年に誕生したオスの「ライ」の2頭を担当し、朝は健康チェックから仕事が始まる。「入室する音で、ライは遊具を持ってきて遊ぼうと誘います」と微笑ましい日常を紹介した。展示場では動物たちが楽しく過ごせるよう、食事やおもちゃを準備。寝室の掃除は「餌をしっかり消化できたか、五感を使って排泄物を観察します」と工夫を語った。
ホッキョクグマは魚や肉のほか、野菜や果物も食べる。季節による食事内容や代謝、運動量の変化で年間の体型や体重は大きく変化し、「出生時0.6kgだったライは、1歳を過ぎ150kgほどに成長した。厳しい環境で生活するためのスピードす」と話した。
伊藤さんは「季節による大きな変化は、動物園でも野生環境と同様に見られます」と動物園の魅力を語る。「絶滅の危機に瀕する野生のホッキョクグマには、命をつなぐアザラシを捕食するため、海氷が欠かせない。地球温暖化で北極圏の海氷面積が小さくなり、近年は雨が降って子育てに必要な雪の巣穴が溶ける問題もある」と語った。
最後に「飼育を担当して現状を目の当たりにする中、自身も行動が必要だと思っています。地球のため一人ひとりができることを考えましょう」と呼びかけた。
身近な自然で感性を磨き世界を想像しよう
クロストークは、村田さんと伊藤さんに河瀬さんが消費者代表として加わった。テーマは「大人の動物園の歩き方」。村田さんは「来園者に『どこから見れば回り切れますか?』とよく尋ねられますが、全部を見なくても自分の好きな動物の前で時間を過ごして欲しい。来園者がそれぞれの動物を見るのは平均30秒ですが、3分くらい観察すると動物の特徴がよく分かる。ぜひ同じ場所で半日ぐらいは過ごすと決め、毎週通うなど年間通して来園してみてください」と勧めた。
伊藤さんは「ホッキョクグマの季節による違いに感動した。皆さんにも季節ごとの姿を見て欲しい。時間帯でも行動が異なるので、来園時間をずらすとより楽しめます。生息環境に適応した体の形や動かし方を観察して、野生環境に思いを馳せてください」と話した。
河瀬さんは「動物園や水族館を毎月のように訪問する。観察していると、人間とは全く違う営みで、異なる常識があると気付きます。解説を見るのも楽しい」と鑑賞のコツを紹介した。
このほか、温暖化の影響も話し合った。伊藤さんは「エサの入手が困難になり、高病原性鳥インフルエンザの発生など影響を受けている。近年の猛暑で飼育エリアのエアコンを稼働させ、涼しい寝室と外を行き来できるよう管理も変化している」と説明。村田さんは「観測データでも着実に気温は上昇し、野生動物の生息環境に影響が出ている。冬は温暖化を忘れがちですが、環境の変化を少し身近に感じる必要がある」と主張した。
河瀬さんは「日常でも不作による農作物の高騰で、温暖化の影響を実感します」と語り、環境の悪化が動物や人間に与える影響を改めて確認した。
最後に「環境や動物たちを守るために私たちができること」を考えた。村田さんは「すぐに社会は変わりませんが、自分が知らない世界の状況を想像し、考えることが大切」と述べ、「生産者と消費者がつながりを持つ社会運動体である生協の宅配のシステムは、環境保全に貢献する」と見解を示した。
伊藤さんは「子どもたちに話すのは、必要な分だけ買い、残さずきれいに食べること。動物が置かれる状況を想像した行動が大きな力になると思います」と伝えた。また、河瀬さんは「神秘さや不思議さに目を見張る感性を指す『センスオブワンダー』という言葉が好きです。大人になると鈍ってしまいがちですが、動物園や身近な自然に触れ感性を磨きたい。米を食べながらに田んぼの生き物を想像するなど想像力を働かせる機会を増やしたい」と希望を語り、クロストークを締めくくった。
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