流通:利益の取れる青果売場の現在!
[ブドウ]品揃えの対応力と値頃感の上昇(上)2016年12月5日
◆色味の豊富さと食べやすさ
前回紹介したリンゴと同様、ブドウは支出金額と購入数量の両方が伸びている果物のひとつだ。その大きな成長要因といえるのが、品種の豊富さである。
まず、様々な色味の品種があるので、売場ではカラーコントロール(色味の組み合わせで売場訴求力を高める手法)によるマグネット(お客様を売場に引き寄せる磁石のような場所)としての機能を高めやすい。
つまり、ブドウやリンゴといった品種によって色味の違う商品を複数並べると、売場が目立ち、売上につながりやすくなるのだ。これが、みかんならば、産地や品種が豊富であっても明確な色味の違いが出しにくく、視認性(目で見た時の確認のしやすさ)は低くなりやすいといえる。
色味だけでなく、食べやすさに対する品種改良も進んでいる。今、人気があるのが種無し・皮ごと食べられる品種だ。その代表的なものがシャインマスカットで、栽培地の拡大が進んだ結果、店頭での販売期間が延長され、巨峰を超える人気商品に育ちつつある。このような品種改良は一朝一夕にはなし得ない。
たゆまぬ努力と研鑽が支持層拡大につながっているといえよう。
◆客層に応じた売り場づくりが可能
こうした品種改良が進む一方で、お客様のニーズがさらに多様に変化しつつあることも忘れてはならない。先述のような種無し・皮ごと食べられる品種が出回った結果、デラウェアなどの、従来人気のあった品種の支持が下がっている。
しかし、これを詳細に調べてみると、小さい子供を持つファミリー層では「大粒だと子供が食べにくい」「甘みもあって離乳食としても人気」などの理由から、引き続きデラウェアを好む傾向にある。
このように、購入するお客様の特性をつかむことができれば、客層に応じた売場の品揃えのメリハリがつけやすくなり、更なる売上増につながる流れが生まれる。
これまで紹介した農産物にも共通するが、お客様の多様なニーズに対応できる豊富な品種は、売上を拡大させるための重要なポイントと言えるだろう。
◆一品単価の高さが小売店のメリットに
ところで、小売店がブドウを取り扱うメリットは何と言っても「一品単価」の高さにある。他の果物と比較しても、お客様の値頃感(商品に抱いている価格イメージ)が高いのだ。例えばブドウの場合、店頭価格で780円、980円という、果物の中で比較的高価格帯と考えられる設定であっても手を伸ばす人が多い。
これがみかんや柿となると様相は異なり、500円以上の価格設定にすると極端に販売点数が伸び悩む。これも品種改良・開発の賜物である。色鮮やかで食味もよく、見た目も豪華な大ぶりの商品が増えた結果、お客様の値頃感が上昇したのだ。
農産物の価格はその年の出来・不出来や品質など生産者サイドの事情に加え、お客様の需要と供給量のバランスで、ほぼ決まっていくと考えられがちだ。しかし、ブランド化や新品種開発によるイメージ浸透によるお客様の値頃感も、価格決定に大きく影響していることを押さえておきたい。
・[ブドウ]品揃えの対応力と値頃感の上昇(下)ーラインロビングが組みやすい、繁盛店の売り場の現状を把握する、今回のまとめ
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