「世界のイネ」コアコレクションの高精度ゲノム情報公開ー農研機構2020年6月15日
農研機構は6月11日、日本のイネ品種の改良に利用できる「世界のイネ」コアコレクションの高精度なゲノム情報を整備し公開した。様々な特性を持つイネ品種から有用な遺伝子を見つけやすくなり、イネの効率的な育種や研究に活用できる。
農研機構が保有する「世界のイネ」コアコレクション
国内で年間750万tが生産されるイネは、日本人の主食として重要な作物であり、良質な米の安定生産を目指した品種改良が行われてきた。
しかし、近年の気候変動への対応や新用途に向けた品種育成には、従来の日本の品種が持つ特性だけでは対応しきれず、海外のイネ品種が持つ新しい耐病性や加工適性などの特性を積極的に取り入れることが求められる。そのため、世界のイネ品種が持つ有用な特性とその遺伝子を効率的に検索できるシステムが必要とされていた。
農研機構は、世界のイネ品種が持つ多様な特性を利用するためのツールとして、これまでに世界の代表的なイネ品種をそろえた品種セット「世界のイネ」コアコレクション(WRC)を作成し、研究素材として種子を提供してきた。
今回、WRCを構成するイネ69品種の高精度なゲノム情報の整備を完了し公開した。この情報を用いることで、WRCのイネ品種がどのような種類の遺伝子を持っているか容易に調べることができ、遺伝子情報に基づくイネの品種改良や研究開発をさらに加速できることが期待される。
WRCは、これまでの品種育成に利用されてこなかった有用形質を秘めた素材。今回公開したゲノム情報を利用し、イネの新規特性の発見、遺伝子の発掘から品種改良までの一連の過程を効率的に進めることが可能になった。
気候変動によって引き起こされる問題の解決につながるような、迅速な品種改良への応用が期待できる。こうしたデータは、近年精力的に推進されている品種改良への新たなアプローチ(スマート育種の推進)にも大きく貢献することが期待できる。
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