土壌から吸収か微生物からもらうか 硝酸イオン輸送からマメ科植物の窒素栄養獲得戦略を解明2022年2月15日
筑波大学、農研機構、科学技術振興機構(JST)の研究グループは、マメ科のモデル植物ミヤコグサを用い、硝酸イオン輸送体の一つであるLjNRT2.1タンパク質が、硝酸イオンの量に応じた根粒共生の抑制制御を仲介する機能を持つことを明らかにした。
ミヤコグサの野生型植物とnrsym3変異体の表現型
マメ科植物は根粒と呼ばれる器官を形成することで根粒菌と共生関係(根粒共生)を築き、空中窒素を肥料として利用できる。これは、窒素栄養の乏しい土壌環境への進出を可能にするなど多くの利益があるが、植物から根粒菌へのエネルギー提供が必要。そのため植物は、不必要なエネルギーの消費を防ぐため、硝酸など窒素栄養が豊富な土壌では根粒共生を停止し、窒素栄養を直接土壌から得ることが知られている。
近年、関連遺伝子の相次ぐ発見により、この現象の制御に関わる仕組みの理解が進んできたが、窒素栄養と根粒共生を結びつける具体的な仕組みは未解明だった。同研究では、マメ科のモデル植物ミヤコグサを用い、硝酸イオン輸送体の一つであるLjNRT2.1タンパク質が、硝酸イオンの量に応じた根粒共生の抑制制御を仲介する機能を持つことを明らかにした。
高濃度の硝酸イオンを植物が感知すると、LjNLP1転写因子の働きでLjNRT2.1遺伝子の発現が上昇する。さらに、LjNRT2.1タンパク質を介した細胞内への硝酸イオンの流入で、LjNLP4転写因子が核へ移動し、根粒形成に関わるさまざまな遺伝子の発現が調節される可能性が示唆された。
また、根粒共生時に働くLjNIN転写因子によってLjNRT2.1遺伝子の発現が減少。これが硝酸イオンの取り込み量の調節に関連することも明らかになった。これらの発見は、窒素栄養の獲得源を土壌から根粒にシフトする、根粒共生を行うマメ科植物ならではの生存戦略を示唆している。
同研究により、環境に応じて器官形成や栄養の獲得様式を変化させるという植物の巧妙な生存戦略の一端が明らかになった。今後、植物の環境適応の仕組みの全容解明や、微生物共生を活用した持続可能な農業実現への貢献が期待される。
硝酸イオン(NO3−)の取り込みを介した根粒形成関連遺伝子の発現調節モデル
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