【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて発生を確認 岡山県2022年7月26日
岡山県病害虫防除所は、トマトキバガの県内でのの発生を初めて確認。これを受け、7月25日に病害虫発生予察特殊報第5号を発令した。
岡山県内で誘殺された成虫(写真提供:岡山県病害虫防除所)
7月に岡山県南部の露地ナス栽培ほ場周辺に設置したトマトキバガの侵入警戒トラップで、トマトキバガ疑似成虫が誘殺された。神戸植物防疫所に同定を依頼したところ、岡山県では未発生のトマトキバガと判明した。
県内では4地点にトラップを設置しているが、他の3地点では確認されていない。また、現在のところ県内では同虫による農作物の被害は認められていない。国内では、2021年10 月に熊本県で初めて確認され、宮崎県、鹿児島県、大分県、福岡県、長崎県、愛媛県、和歌山県で確認されている。
成虫は翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長ミリ弱、開帳 約10ミリ)。前翅は、灰褐色で黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は終齢で約8ミリ達する。体色は淡緑色~淡赤白色で、前胸の背面後縁に狭い黒色横帯を有する。
1年に複数回の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、南米では年に10~12 世代発生することが報告されている。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。また、発育下限温度は8℃とされている。成虫は、夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。雌は一生のうち平均で約260 個の卵を寄生植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1~4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
トマト、ピーマン、ナス、タバコ、バレイショなどのナス科植物が主要な寄主植物だが、マメ科のインゲンマメも寄主植物として確認されている。トマトでは、葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、葉肉内に孔道が形成される。食害部分は表面のみを残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに食害部分の腐敗が生じ果実品質が著しく低下する。
また、海外では、ばれいしょの地上部を加害し、塊茎は直接加害しないとされてきたが、近年、フランスでは、ばれいしょ塊茎への直接加害も報告されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)現在、トマトキバガに対する登録農薬はないが、植物防疫法第29 条1項に基づく措置として、別紙に記載された農薬による防除ができる。なお、薬剤防除にあたっては、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統の異なる薬剤のローテーション散布を行う。
(2)ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
(3)被害葉や被害果はほ場内から持ち出すとともに、野外に放置せず速やかに適切に処分する。
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