熱帯林の総生産量 リン制限で従来予測より36%減少 陸域の炭素収支モデルの予測精度向上へ2022年11月25日
国際農研と高知大学が参画する西シドニー大学(オーストラリア)のDavid Ellsworth教授が主導する国際的な熱帯林樹木の光合成能力を解明する研究グループは、世界4大陸の熱帯林から得られた実測データを基に、熱帯で不足しがちなリンが光合成をどの程度制限しているのか解明。リン制限により熱帯林の総生産量は従来の予測より36%減少していることがわかった。
マレーシアの熱帯林(左)と林冠クレーンのゴンドラ
同研究グループはこのほど、植物の必須元素の1つであるリンによる光合成の制限を、森林の総生産量を予測するモデルに組み込むと、これを組み込まない場合に比べ、全世界の熱帯・亜熱帯林の総生産量が36%減少することを明らかにした。
熱帯林は陸域生態系の総生産量の三分の一以上を占め、気候変動の緩和と適応に重要な役割を果たしている。一方、熱帯地域の土壌は風化が進み、リンが不足しているが、リンがどの程度光合成を制限しているかについては実測データが少なく、森林の総生産量への影響も不明だった。
そこで、世界4大陸の52のサイトで実測したデータを解析した結果、葉内のリン濃度と光合成能力の関係、すなわち、窒素が豊富でもリンが不足すれば光合成が制限されることを明らかにした。さらに、森林の総生産量を予測するモデルにリン制限を組み込むことで、リン制限が全世界の熱帯・亜熱帯林の総生産量に与える影響を定量化することに成功した。
この研究は、熱帯地域では、リンが光合成に与える影響が既往の想定よりもかなり大きいことを見出したもの。陸域の炭素収支の予測精度向上に貢献する。
同研究の成果は、科学雑誌『Nature Communications』(8月25日)に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
【欧米の農政転換と農民運動】環境重視と自由化の矛盾 イギリス農民の怒りの正体と運動の行方(2)駒澤大学名誉教授 溝手芳計氏2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 佐賀県2024年4月26日
-
【注意報】麦類に赤かび病 県内で多発のおそれ 熊本県2024年4月26日
-
【注意報】核果類にナシヒメシンクイ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年4月26日
-
【注意報】ムギ類に赤かび病 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年4月26日
-
「沖縄県産パインアップルフェア」銀座の直営飲食店舗で開催 JA全農2024年4月26日
-
「みのりカフェ博多店」24日から「開業3周年記念フェア」開催 JA全農2024年4月26日
-
「菊池水田ごぼう」が収穫最盛期を迎える JA菊池2024年4月26日
-
「JAタウンのうた」MV公開 公式応援大使・根本凪が歌とダンスで産地を応援2024年4月26日
-
中堅職員が新事業を提案 全中教育部「ミライ共創プロジェクト」成果発表2024年4月26日
-
子実用トウモロコシ 生産引き上げ困難 坂本農相2024年4月26日
-
(381)20代6割、30代5割、40/50代4割【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年4月26日
-
【JA人事】JA北つくば(茨城県)新組合長に川津修氏(4月20日)2024年4月26日
-
野菜ソムリエが選んだ最高金賞「焼き芋」使用 イタリアンジェラートを期間限定で販売2024年4月26日
-
DJI新型農業用ドローンとアップグレード版「SmartFarmアプリ」世界で発売2024年4月26日
-
「もしもFES名古屋2024」名古屋・栄で開催 こくみん共済coop2024年4月26日
-
農水省『全国版畜産クラウド』とデータ連携 ファームノート2024年4月26日
-
土日が多い曜日まわり、歓送迎会需要増で売上堅調 外食産業市場動向調査3月度2024年4月26日
-
鳥インフル 英国からの生きた家きん、家きん肉等 一時輸入停止措置を解除 農水省2024年4月26日
-
淡路島産新たまねぎ使用「たまねぎバーガー」関西・四国で限定販売 モスバーガー2024年4月26日