【特殊報】トマトキバガ 県内で初めて発生を確認 佐賀県2022年12月9日
佐賀県農業技術防除センターは、トマトキバガによる誘殺を県内で初めて確認。これを受けて、12月8日に病害虫発生予察特殊報第4号を発令した。
県内で誘殺された成虫(写真提供:佐賀県農業技術防除センター)
11月に県内の施設トマト隣接地に設置したトマトキバガ侵入警戒トラップで、トマトキバガ疑義成虫が誘殺された。農林水産省門司植物防疫所に同定を依頼したところ、佐賀県では未発生のトマトキバガであることが判明した。現在のところ、県内の農作物における本種幼虫の発生および被害は認められていない。
同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認され、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大。2021年5月までに、台湾、中国、中央アジア諸国などで発生が新たに確認されている。また、国内では、同10月に熊本県で初めて確認され、宮崎県、鹿児島県、大分県、福岡県、長崎県、愛媛県、和歌山県、岡山県、山口県、広島県で確認されている。
成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長5ミリ弱、開張10ミリ)。前翅は灰褐色で黒色斑が散在する。後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリに達する。体色は淡緑色~淡赤白色で、前胸の背面後縁に狭い黒色横帯を有する。
生態としては、1年に複数回世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、南米では年に10~12世代発生することが報告されている。
卵~成虫になるまでの期間は24~38日程で、気温が低い時期はさらに期間が延びる。また、発育下限温度は8℃とされている。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。
雌は一生のうちに、平均で約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢~4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
トマトの被害は、葉では内部に幼虫が潜り込んで食害し、葉肉内に孔道が形成される。食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ度の穿孔痕が生じるとともに、食害部分の腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。
寄生植物としては、トマト、ナス、ピーマン、タバコ、バレイショなどのナス科植物が主要なものだが、マメ科のインゲンマメも寄主植物として確認されている。また、海外では、ピレスロイド系やジアミド系などの殺虫剤に対する抵抗性を獲得した個体群の発生が報告されている。
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在、トマトキバガに対する登録農薬はないが、トマト、ミニトマト、ピーマン、ナス及びバレイショでは植物防疫法第29条1項に基づく措置として、別紙に記載された農薬による防除を行う。なお、薬剤防除にあたっては、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇除去した被害株や被害果などを野外に放置すると、それが発生源となり、周囲に拡散する恐れがあるため、除去した被害株などは、速やかに土中に深く埋設するか、ビニル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
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