【特殊報】トマトキバガ 道内で初めて発生を確認 北海道2023年7月11日
北海道病害虫防除所は、トマトキバガの発生を道内で初めて確認。これを受けて、7月7日に令和5年度病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
フェロモントラップで誘殺された成虫(提供:道南農業試験場)
6月26日、道総研道南農業試験場(北斗市)のばれいしょほ場に設置したトマトキバガの侵入調査用のフェロモントラップにおいて、同種と疑われる成虫1頭が捕獲された。横浜植物防疫所に同定を依頼した結果、6月29日に北海道で未発生のトマトキバガ(Tutaabsoluta)であることが確認された。
同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認されて以降、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大。2021年までに台湾、中国、中央アジア諸国等の近隣地域でも発生が確認されている。
同種は国内では、2021年10月に熊本県、同12月に宮崎県のトマトほ場で初めて確認。以降、青森県や秋田県など計15県でトラップによる誘殺が確認されている。道内では現在、農作物における同種の発生及び被害の報告はない。
成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長約5ミリ、開張約10ミリ)。前翅は灰褐色の地色に黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリ。体色は淡緑色~淡赤白色で、頭部は淡褐色。前胸の背面後方に細い黒色横帯がある。
1年に複数の世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、年に10~12世代発生する地域もある。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程度で、気温が低い時期はさらに延びる。成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多く、雌は一生のうちに平均約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢から4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。
トマト、なす、ピーマン、ばれいしょ等のナス科植物が主要な寄主植物。マメ科のいんげんまめも、寄主植物として確認されている。トマトでは、茎葉の内部に幼虫が潜り込んで食害し、孔道を形成。葉の食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。
〇トマトキバガの発生が疑われた場合は、速やかに最寄りの農業改良普及センター、農業試験場、病害虫防除所に連絡する。
〇発生を拡大させないため、薬剤散布を行うとともに、被害葉や被害果実はほ場に放置せず、速やかに土中に深く埋没するか、ビニル袋などに入れて一定期間密閉し、寄生した成幼虫を全て死滅させ、適切に処分する。
〇現在のトマトキバガに対する登録農薬は表のとおり。また、植物防疫法第29条第1項に基づく措置として、別紙に記載された農薬による防除を行うことができる。なお、薬剤散布にあたっては、最新の農薬登録情報を確認し、薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。
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