日本初 酒販店主導で泡盛醸造用酵母「南島1号」開発 南島酒販2023年10月19日
沖縄県で酒類卸売問屋を展開する南島酒販株式会社は、泡盛の風味の多様性と泡盛メーカーの挑戦を後押しすることを目的に、株式会社バイオジェット(沖縄県うるま市)と連携し、沖縄県の自然界から採取した泡盛醸造に適した南島1号酵母を開発した。
バイオジェット社と連携し、沖縄の自然界から採取した野生酵母を実用化
南島1号酵母は、従来の泡盛醸造に使われる酵母と比較して、バニラ香やバナナのようなフルーティな香りを生成する能力が高く、香り高い泡盛の製造が期待される。現在、市販されているほとんどの泡盛は「101号酵母」が用いられているが、南島1号酵母は101号酵母とは異なるグループに属する新たな泡盛酵母となる。
通常、メーカーが自社開発した新たな酵母は基本的に1社のみで利用されるが、南島酒販は泡盛の多様化のため希望する酒造所に頒布。商品化の第一弾としてこの秋、合資会社恩納酒造所(沖縄県恩納村)の協力を得て、南島酒販が運営する泡盛ブランド『shimmer(シマー)』から数量限定で販売を予定している。
南島1号酵母の採取と特徴
泡盛は、原料米から黒麹菌を用いた製麹、得られた麹と酵母を用いた仕込みによるもろみ発酵、蒸留の過程で醸造される。この過程で用いられ、「酵母」はアルコールを生成するとともに、泡盛の風味に大きく影響する。戦前の泡盛酵母は沖縄戦によりほとんどが消失したが、その後、泡盛復興の過程で優良株101号酵母が分離され、醸造が飛躍的に安定した。一方で現状では泡盛に広く使える酵母がこの101号酵母に限定されていることから、新たな酵母の開発によりこれまでにない新しい風味の泡盛の誕生につながると考えられる。
酵母は、パン・ワイン・清酒などに用いられ、それぞれがグループを形成していることがわかっているが、南島1号酵母は、沖縄の自然界から新たに採取された酵母。バイオジェットによる詳細な解析の結果、南島1号酵母は、従来の酵母と大きく離れた系統で、全く新しい泡盛酵母であることが確認された。
さらに、南島1号酵母を用いて試験的に製造した泡盛は、従来の泡盛酵母と比較して、バニラ香やバナナのようなフルーティな香りを生成する能力が高いことが確認され、これまでの泡盛とは異なる、香り高い泡盛を醸造できると考えられる。
これまでに、一部の酒造所で新たな独自酵母の開発が行われ、実際に商品化につながっているが、ほとんどが1社での利用に限定され業界全体への波及にはつながらなかった。今回の「南島1号酵母」は、酒販店主導で開発した経緯から、様々な酒造所で広く用いることが可能で、新たな泡盛商品群の構築につながると期待できる。
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