空撮画像のAI解析技術を活用 ほ場単位のスイートコーン収穫適期を予測 農研機構2024年4月11日
農研機構は、スイートコーンほ場でのドローン空撮画像のAI(人工知能)による物体検出技術と農研機構メッシュ農業気象データを用い、ほ場1筆ごとに収穫適期を予測する技術を開発した。
一斉機械収穫の様子
スイートコーンについてはこれまで、広大なほ場での正確な収穫適期予測には手間がかかっていたが、この技術により開花前後にあたる雄穂抽出期から絹糸抽出期の間に1度ほ場を空撮することで、収穫適期を把握できる。AI活用で収穫適期予測が正確かつ簡易になることで、計画的な収穫作業によるスイートコーン生産の効率化につながる。
スイートコーンは収穫後の品質低下が著しい作物として知られ、計画的な収穫作業が望まれてる。ほ場全体を機械で一斉に収穫するには、収穫前にほ場全体を対象として適切な収穫日を予測する必要があるが、現在、スイートコーン生産者は広大なほ場のごく一部からサンプルを収集し、収穫適期を判断。しかし、サンプル収集作業は生産者の大きな負担となっていることや、数本のサンプルからでは収穫適期の判断ミスが生じ歩留まりが低下する可能性があること、収穫日の決定が収穫直前になってしまうことなどから計画的な収穫作業ができなかった。
収穫適期予測技術の概要
そこで農研機構は、ドローンによる空撮画像から、物体検出AIによりほ場全域でのスイートコーンの生育状況を評価し、その上に農研機構メッシュ気象データを連携させて、スイートコーンの収穫適期が推定できる技術を開発した。
同技術では、収穫約1か月前にあたる開花前後の1度の空撮で得た画像から、物体検出アルゴリズムであるYOLOv53を利用し、画像中のスイートコーン雄穂の開花段階を判断し計数。この情報をもとに、ほ場全体の生育状況を解析し、解析結果からほ場1筆単位の収穫適期期間約5日間を出力する。これにより作物の成熟に合わせた計画的な収穫作業が可能となる。
現在は、北海道における代表的な品種の「恵味スター」が対象。今後は対象品種の拡大や精度向上に向けて改良を進め、農業現場に即した同技術の導入方法について調査し、実用化を目指す。
同技術は、将来的に収穫作業の機械化による省力化・一斉機械収穫時の歩留まり向上に寄与。スイートコーン生産の効率化・技術向上に貢献する。
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