【特殊報】トマト立枯病 県内で初めて確認 和歌山県2025年10月10日
和歌山県農作物病害虫防除所は、トマト立枯病の発生を県内で初めて確認。これを受けて、10月10日に令和7年度病害虫発生予察特殊報第2号を発表した。
左から、図1:株の萎凋、枯死、図2:地際部に形成した子のう殻(提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
和歌山県農作物病害虫防除所によると、1月に、日高郡日高川町の施設栽培ミニトマトにおいて株が萎凋し、枯死する被害が発生(図1)。枯死株の褐変した地際部には赤橙色の小粒(子のう殻、図2)が多数確認された。また、茎内部は黒変・腐敗していた(図3)。
図3:茎内部の腐敗(提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
同所において、分離菌のトマト苗への病原性を確認した後、形態観察および遺伝子診断を行った結果、和歌山県では未発生のFusarium solani-melongenae(Haematonectria ipomoeae)によるトマト立枯病であることが確認された。
同病は1990年に愛知県で初めて確認され、その後、13県で発生が報告されている。
病徴としては、感染株の地際部には褐変やひび割れが生じ、茎内部は黒変、腐敗する。症状が進展すると、葉の黄化や株の萎凋がみられ、最終的に枯死する。地際部や露出した根表面には赤橙色の小粒(子のう殻)が多数形成される場合がある。和歌山県では確認されていないが、他県では葉かき跡からの発病も認められている。
同菌は、トマトのほかにナスやピーマン等にも立枯れ症状を引き起こすことが知られている。
同菌は糸状菌の一種で、子のう菌類に分類される。子のう殻は赤橙色で、子のう殻中に棍棒状の子のうを形成し(図4)、その内部に隔壁を有する子のう胞子を8個形成する。詳細な伝染環は不明だが、ほ場に残った罹病残渣に付着している病原菌が伝染源になり、発病後は分生子や子のう胞子の飛散により二次伝染を引き起こすと考えられる。
図4:子のう殻と子のう(提供:和歌山県農作物病害虫防除所)
同所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
(1)定植前に太陽熱土壌消毒等を実施する。
(2)10月1日現在、同病に対して、ファンタジスタ顆粒水和剤の2000倍散布(収穫前日まで、3回以内)の登録がある。
(3)ほ場に出入りの際は、靴の履き替えや靴底の消毒等を行い、汚染土壌を移動させないようにする。
(4)発病株は直ちに抜き取り、袋に密閉後、ほ場外に持ち出し適切に処分する。
(5)栽培終了後は、残渣の除去を徹底する。
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