【コラム・ここがカンジん】職能組合のさらなる明定化2014年12月3日
衆議院が解散された。安倍首相は勝敗ラインを自公合わせて過半数としている。これでは選挙前から安倍内閣の続投が決まったようなものだ。選挙後はアベノミクスが支持されたと、今まで以上に競争戦略が進められ、TPP交渉やJA改革の加速化が懸念される。
◆農相の記者会見
このうちJA改革については、農水省は次期通常国会に中央会の新制度移行に関する法案と全農の株式会社転換法の二つを予定しているという。だが気になるのは、JAグループがまとめた「自己改革具体策」が出された際の記者会見での西川農相の発言だ。自己改革は[1]全中の監査権限、[2]職能組合としての農協の役割の2点について政府との間にズレがあるという。
全中監査について農協法上の規定は必要ないとの政府の考えはたびたび聞いてきているが、JAは職能組合に徹し、地域組合などの役割は果たさなくてよいという発言は大変気になる。今年6月24日に閣議決定された「規制改革実施計画」では、中央会制度についての新制度への移行、准組合員の事業利用制限、JAからの信用・共済事業の分離、株式会社化の方向などを示しており、これらは、すべて総合JAを否定し、職能組合化をめざすものであることは疑う余地がない。
◆国会審議の争点
だが、さらなる職能組合化という文言は見当たらない。今回の農相発言は、今後こうした職能組合化の方向を政府として正式に進めることを宣言したものと受け止めるべきではないのか。
農水省はすでに2001年の農協法改正でJAの職能組合化の方向を打ち出しているが、さらにこの方向を徹底しようとしているのか。
いずれにしても、仮に農協法第1条の農協の目的規定をさらに職能組合の方向に変えることが検討されているようであれば、ことは重大である。今回のJAの「自己改革具体策」が否定されることはもとより、これまでJAが進めてきた「農を通じた豊かな地域社会の建設」といったJAの経営理念がすべて否定されることになる。
当然、現在「規制改革実施計画」で提案されている総合JA否定の具体策はすべて正当化されることになる。
次期通常国会での議論は、中央会問題と全農の株式会社転換法で終わりという農水省の説明はとんでもない欺瞞的なものということになる。
農業政策は農業専業者だけのものか、それとも兼業農家を含む広範なものか、またJAはさらに職能組合化の道をたどるのが適切かどうか、選挙戦や国会審議を通じて、とくに政府与党にその態度を強く迫っていくべきである。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日
-
深作農園「日本でいちばん大切にしたい会社」で「審査委員会特別賞」受賞2025年9月18日