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【コラム・森田実の政治評論】第三次安倍政権の課題と問題点2014年12月19日

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【政治評論家・東日本国際大学客員教授 森田実】

・最大の誤算は投票率急落
・「アベノミクス解散」宣言で十字架背負う
・平和外交と国民経済再興に集中できるか?
・国民目線の経済対策を

 12月14日の衆院選の結果は、与党と野党の力関係という点からだけみると、あまり変わっていません。自民党の衆院選前の議席数は295でした。選挙結果は291で、マイナス4議席となりました。ほぼ現状維持とみてよいと思います。連立政権のパートナーの公明党は31から35議席へ4議席増でした。自公連立としては現状を維持したことになります。この結果、安倍政権は国民の信任を得たことになりました。安倍首相の電撃的な解散・総選挙の戦略戦術は成功したと評価されているのも当然と言えるでしょう。

◆最大の誤算は投票率急落

 しかし、誤算はありました。第一は、投票率が急落したことです。52.66%(選挙区)、52.65%(比例区)でした。政権を決める衆院選としては異常な低さです。戦後最低です。これは、かなり深刻な問題です。民主政治の危機と言っても過言ではないでしょう。有権者の約4分の1の支持で、強大な政権ができたことになります。低投票率になったことについて安倍首相の側にも反省すべき点があると思います。謙虚に反省してほしいと思います。
 もう一つ誤算があったのではないか、と私は思います。それは、安倍首相を右側から強烈に支持していた極右政治家と極右勢力の衰退です。安倍首相の熱烈支持者で盟友の極右政治家、石原慎太郎と渡辺喜美の両氏は政界を去りました。この2人の極右政治家を支えていた右翼勢力は衰退しました。維新の党も、民主党の右派も、伸び悩みました。安倍首相の右翼バネが弱体化しました。

 

◆「アベノミクス解散」宣言で十字架背負う

 安倍首相には憲法改正などやりたいことが多々あると思いますが、経済再生をやりとげなければ他の課題に着手することはできなくなりました。安倍首相は、今回の解散を、自ら「アベノミクス解散」と命名しました。経済再建ができなければ、 2014年12月14日の衆院選は何のために行ったのか、ということになります。もう憲法改正と経済再生の二兎を追うことは許されません。
 2016年夏には参院選があります。そのときまでに国民が実感できるようなアベノミクスの成果がでなければ、2016年参院選で大逆転が起こることは不可避でしょう。安倍首相の長期政権は夢のまた夢と化すでしょう。経済再生ができるか否かによって、2016年夏の日本の安倍政権の命運は決まるでしょう。

 

◆平和外交と国民経済再興に集中できるか?

 日本の景気を上昇させ、経済再生を実現するためには中国、韓国、アジア諸国との平和友好関係の拡大が必要です。とくに大切なのは日中関係の改善です。中国も日本との友好増進を望んでいます。
 しかし、大きな障害があります。安倍首相の「歴史修正主義」です。2015年8月15日の「終戦70周年記念日」に、安倍首相は1995年の村山談話を否定し、歴史修正主義に立った新しい「安倍談話」を発表するのではないかとの疑いが、アジア諸国にあります。もしそのような「安倍談話」を出せば、中国、韓国、アジア諸国民の安倍首相への反発は広がり、経済関係にも影響するでしょう。

 

◆国民目線の経済対策を

 アベノミクスの成否のカギは、安倍政権の「目線」にあると思います。大企業がよくなれば自然に国民経済がよくなるという考え方では、デフレ脱却の成果は上がりません。
 目線を、農林水産業、地方・地域、草の根の国民の生活におくべきです。上流からカネを流すだけの政策では間に合いません。下流から温めることです。下流に温水を送ることができるか否かが、重要問題なのです。
 安倍首相が、相変わらず地球儀俯瞰外交などといって、海外旅行を繰り返すようなら、地方・地域再生は日暮れて道遠しだと思います。
 安倍首相は自らの足で日本の地方、日本の農林水産業の現場に立ち、農業者、漁業者、地域住民とともに経済再生の努力に汗を流すべきです。国内を整えて初めて、平和友好外交はできるのです。

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