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ISDS:TPPと日欧EPAでどう違うか2017年1月19日

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【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

 TPPでは、農産物関税撤廃、食の安全、医療と共に、強い懸念が出されている投資家対国家間紛争処理ISDSだが、新聞等では余り報道されていない。日欧EPAでは一言も触れられていない筈だ。しかしEUは米国との環大西洋貿易投資連携協定TTIPで今までとは異なる仕組みを提案しており、日欧EPAでもISDSで同様の提案がされていると聞いている。

◆ISDSを私物化する少数の法律家

 ISDSは60年代に始まる投資協定(14年末約3000件UNCTAD)に盛り込まれ、北米自由貿易協定NAFTA以降提訴の件数が増え、14年末時点で608件となっている(UNCTAD)。提訴側企業の国籍は欧米が多く、される側は新興国に偏っている。法体制の未整備と外資による資源投資の多さが関連しているのだろう。日本企業による提訴事例はあるが、日本政府が提訴された事例は無い。
 そして特殊な分野で仲裁人が限られていることがISDSの歪みを生んでいる。たった15人の仲裁人が投資仲裁の55%、係争額40億ドル以上で見ると75%を独占している(TPPテキスト分析チ-ム「続そうだったのかTPP」から)。
 そして彼らは、提訴の可能性と企業を追い求め、多額の報酬を手にしている。

◆ISDSの基本的問題点

https://www.mfat.govt.nz/assets/_securedfiles/Trans-Pacific-Partnership/Text/9.-Investment-Chapter.pdf←TPPの投資章
 仕組みとしての最大の問題は、提訴する企業が、民主主義の立法・司法・行政からも、3権分立からも自由であることだ。シェブロン社がエクアドルを提訴した事例では、現地法人による環境汚染にエクアドルの裁判所が損害賠償を命じたのに対し、ISDSの仲裁裁定が執行停止を命じている=司法に従うべき国家に対し、私的な仲裁法廷が司法に背くよう命じているのだ。そして、地方自治体の違反?行為についても国家は賠償を求められる。
 国家も市民もISDSの仲裁法廷に対して企業を訴えることは出来ず、その権利は外国企業にだけ与えられている。そして損害賠償は国民の税金により支払われる。
 曖昧な国際法の用語に「公正かつ衡平な待遇」という表現があり、ISDSではこの義務への違反が国家の敗訴の理由とされることが多い。しかしTPPでも義務違反の用件は明示されず、「TPPや他の国際協定で違反があったとしても、公正衡平義務違反になるとは限らない」(9章9条3項)とやはり曖昧で、9条4項、5項でも「必ずしも違反を構成しない」とするのみだ。
 24条では仲裁手続きの透明性をうたっているが、4項では「非公開、一部のみ公開、編集したものでもよい」と抜け穴を作っている。
 もっともらしく、「環境や健康のための規制はISDSの例外」としているが、「(この章に適合するものに限る)」(いずれも16条)と抜け穴を作っている。
 そして控訴審も再審もなく、"乱訴防止"も絵に描いた餅だ。

◆ISDS=投資協定から撤退する国々

 以上のようなことから近年、中南米、アジア、アフリカのいくつかの国が、仲裁の場である世銀の「投資紛争解決国際センタ-」からの脱退、ISDSへの反対、投資協定からの脱退あるいは見直し・検討などをし始めている。欧州でもEU委員会といくつかの国が反対あるいは懐疑的な立場を取るようになった。

◆EUのISDSはどこまで変わったのか?
 
 既にTTIPでの提案の原案が公表されているが、ここでは16年9月16日のプレスリリ-スを紹介したい。⇒http://europa.eu/rapid/press-release_IP-15-5651_en.htm
TTIP⇒http://trade.ec.europa.eu/doclib/docs/2015/september/tradoc_153807.pdf
 EUは、新たな仕組みについて、加盟各国の市民や議会からの意見を踏まえて作成しており、今後、従来のISDSに置き換えるものとして提案するとしている。そして、政府の規制権限を尊重し、透明性・説明責任を確保し、国内法廷・国際法廷に必要な重要な要素を織り込んだとしている。TPPも同様のことをうたっており、多少割り引いたほうがよいものの、従来の仕組みとは大きく異なる内容も含んでいる。
 ・仲裁廷は常設の国際司法裁判所ICJやWTOの上級パネルのように、高度な資格を持つ判事により維持される。
 ・一審、控訴審と2つの段階での審議ができる。
 ・提訴は明確なル-ルにより裁定され、政府の規制権限が確保される。
 ・控訴審はWTOと同じような原則で運営される
 ・提訴出来る投資家は正確に定義され、提訴はジェンダ-、人種や宗教・国籍に基づく差別、補償されない収用、裁判拒否などの事例に限定される。
 そして、次の段階ではEU及び加盟国が非EU各国と締結した協定で規定する投資仲裁の仕組みを新提案と置きかえ、将来は常設の国際的な投資裁判所を目指す方向だ。

 しかしそれでも特権は外国企業のみに与えられ、負担は国民に対して押し付けられる、という基本的問題は何ら解消されていない。
 本日現在、12月の交渉報告はEU側では公表されておらず、日本側は、相変わらず内容の無い箇条書き数行4項目のみしか報告されていない。このまま大枠合意に進んでよいのだろうか?

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