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【熊野孝文・米マーケット情報】主食用米と政府備蓄米はどっちが得か?2019年3月19日

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【(株)米穀新聞社記者・熊野孝文】

 先週開催された中部地区の稲作経営者会議総会の席上、国や県から31年度の産地交付金等助成金体系が示された際、出席した生産者から「戦略的作物等のなかに政府備蓄米が入っているが、何か助成措置があるのか?」という質問があった。
 政府備蓄米は飼料用米や加工用米とは制度上の位置付けが違い、助成金の支給対象にはならないが、このところの異様とも思える農水省の「政府備蓄米応札要請」キャンペーンからするとそうした質問が出ても不思議ではない。助成金が出ないと分かった生産者は「政府備蓄米は戦略作物の項から外した方が良いのではないか」と言った。
 31年産政府備蓄米の買入入札はこれまで第1回1月29日、第2回2月12日、第3回3月5日に実施され、累計で13万6216tが落札された。買入予定枠は20万9140tなので残枠は7万2924tになり、この数量を対象に第4回(3月26日)、第5回(4月16日)の買入入札が実施される。第4回目はこれまで通り都道府県別優先枠が設定されるが、第5回目は優先枠と一般枠を設けるとしているほか優先枠を超えて応札された数量は一般枠への応札とみなすとしている。
 当然のこととして、入札が終わるたびに落札価格情報が飛び交う。最も驚いたのは第1回入札が終わったその夜、生産者や集荷業者等から「1万3800円(税別)で落札出来たそうですよ」という情報がもたらされた時である。その時はそんな高値で落ちるはずはないと思った。なぜ、そう思ったかというと政府備蓄米の買入上限価格設定には暗黙のルールがあるからだ。分かりやすく言えば相対取引価格の5中3(過去5年間の価格の内最高・最低価格を除いた3年間の平均価格)で、これであれば31年産米の上限価格は30年産落札価格より200円高の1万3400円程度と見られ、実際、多くの応札資格者が1万3400円から1万3500円で落としに行った。事前情報として「国は31年産から産地別に上限価格を変える」といった情報もあったが、農水省に問い合わせても価格情報に関しては一切答えない。ただ「主食用米に比べ遜色ない価格」と言うだけである。
 買入入札が2回、3回と進むうちに1万3870円でも落ちた、1万3875円でも落ちたという情報がもたらされた。にもかかわらず依然予定した枠が埋まらない状態が続いており、焦った農水省は禁じ手というべき手段に打って出た。なんと自ら政府備蓄米の買入価格を示し、その価格と各産地の主食用米銘柄との価格比較表を作ってばら撒いたのである。それには政府備蓄米の買入価格は「業界紙が掲載した落札情報によると」という但し書きが記してあるが、落札上限価格は自ら決めているのだからその価格を示せばよさそうなものだが、それはそれとして、そこにはさらに信じられないような比較表が掲載されていた。
「農林水産省作成・主食用米と政府備蓄米との手取額の試算(新潟県産米の例)」では30年産主食用米と31年産政府備蓄米を比べた場合として、新潟県産一般コシヒカリと政府備蓄米の価格が示されている。なんと10a当たりの生産者手取りは主食用としてコシヒカリを作るより政府備蓄米としてあきだわらを作って売り渡した方が1万2500円多いと記されている。
 その算定根拠はどうなっているのかというと、主食用のコシヒカリは、今年1月までの相対取引価格1万7051円(税込み)から集荷手数料・流通販促経費・取扱手数料を差し引いた1万5100円に10a当たりの平年単収基準527kgを乗じた額が13万2600円。これに対して政府備蓄米用としてあきだわらを作ると流通・販促経費を除いた経費を差し引くと1万3600円になり、これに10a当たりの収量見込み640kgを乗じると14万5100円になるという計算方式である。他の産地はどうなっているのかというと北海道は主食用ななつぼし(10a532kg)、備蓄米そらゆき(10a650kg)。福島は主食用コシヒカリ(10a528kg)、備蓄米天のつぶ(10a600kg)といった具合で、反収がこれほど違うと備蓄米の手取りが多くなるのは当たり前である。反収の違いは否定しないが、最も問題なのはなぜ同じ31年産の比較をしないのかという点である。その価格が分からないというのならともかく、新潟コシヒカリは先物市場で31年産の受渡し限月の価格が毎日出ているのだからその価格と比較すべきである。なぜなら新潟の生産者はその限月の価格で売れば所得が確定するのだからそうすべきである。 ちなみに今日売れば農水省の示した価格より60kg当たり700円高い。

 

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