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【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】(170)豚肉輸出は米国の一人勝ち?2020年2月28日

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【三石誠司 宮城大学教授】

 先日(2020年2月14日)、米国農務省恒例の長期見通しが発表になった。今回、筆者が最も注目したのは豚肉である。

 周知のとおり、現在、我々の周りは新型コロナ(COVID-19)で大変だが、わずか数か月前にはASF(アフリカ豚コレラ)が注目されていた。この病気の動向について最近は余り報道されないが終息している訳ではない。OIEのウェブサイトには依然として新たな発生が報告されている。公表されている地図を見ると中国国内は以前より減少しているような印象だが、それが本当なのか、あるいは新型コロナでそれどころではないのかは不明である。

 さて、結論を簡潔に述べよう。
 どうも米国(少なくとも農務省)は、つい最近まで今後の豚肉輸出は一人勝ち...という長期見通しを立てていたようだ。今回の新型コロナの影響が、中国国内における豚肉の生産と流通にどの程度影響を与えているかに対し、詳細に検証した報告は今のところ見当たらない。断片情報をつなぎ合わせて全体像を描くにはまだ早すぎるし、何と言っても影響は余りにも多岐にわたる。豚肉どころか、通常の郵便物や人の移動までもが大幅に制限されている状況である。実際、日本国内でもスポーツの試合、芸能人のコンサート、大学でも卒業式や入学式などを控え大変な状況が続いている。

 話を米国農務省の長期見通しに戻す。
 下の表は、2019年3月と2020年2月に米国農務省が公表した長期見通しのうち、中国の豚肉輸入数量と、米国の豚肉輸出数量を比較したものである。昨年3月時点の中国の豚肉輸入数量は年間175万トン、そして10年後の2028年の予想は210万トンであった。それが1年後の今年の発表では2029年には470万トンにまで増加している。

 昨年時点では今後10年間で35万トンの増加が見通されていたものが、今年になると300万トン以上の増加である。この背景は間違いなくASFの影響である。


米国農務省の長期見通しに見る豚肉の輸出入数量(中国・米国、単位:千トン)米国農務省の長期見通しに見る豚肉の輸出入数量(中国・米国、単位:千トン:クリックで拡大)
出典:「米国農務省長期見通し」より筆者作成。

 数字の羅列になったので、これを単純なグラフにしてみたい。どのような状況が想定されているかがよくわかる。

米国農務省の長期見通しに見る豚肉の輸出入数量(中国・米国、単位:千トン) グラフ

 

 顕著な特徴は、ここ1~2年で中国の豚肉輸入数量が激増し、その後は緩やかな右肩上がりとなっていることである。中国の豚肉輸入は、先に述べたとおり、昨年の見通しでは175万トンが10年後には210万トンと緩やかに伸びる想定であったが、今年の見通しでは、2019の数字が260万トンに大幅増加しただけでなく、2020年には350万トン、2021年には380万トンとここ昨年から3年ほどで激増している。その後、2022年に400万トンの大台に達した後は7~8年かけて緩やかな増加傾向を示している。

 さて、興味深い点は、これを誰が提供するかである。米国の豚肉輸出は昨年2月時点で270万トン、これが2028年には310万トンと約40万トン増が見込まれていた。ところが、今年の見通しでは、同じ270万トンが2029年には480万トンへと200万トン以上の増加が見込まれている。

 簡単に言えば、中国の豚肉は今後10年間で約300万トンの輸入増加が見込まれ、そのうち約200万トンは米国が提供する...という構図である。残りの100万トンを分け合うのはどこか。米国農務省の見通しに詳細は出ていないが、2018年から2029年の間に豚肉輸出数量が大きく伸びるところは、EU(+176万トン)、ブラジル(+55万トン)とは示されている。従って、この両者がパイの残りである100万トンの大半を分け合う可能性が高いと推測することが出来よう。

 なお、米国農務省の見通しにおけるマクロ経済上の前提条件は昨年8月時点であり、各種の需給は昨年10月時点のものを基本としている。今回の長期見通しはこれらに米中貿易摩擦の影響など考えられる各種要素などを織り込んだモデルを用いて作成したようだが、昨年12月以降に注目された新型コロナによる経済活動への影響は、発表時期から見て、仮に織り込まれたとしても極めて限定的であると考えるのが妥当であろう。

 現実にはこれら全てを織り込んだ時、今後の中国の豚肉輸入数量と、米国の豚肉輸出数量の本当の絵が見えてくるが、現段階では筆者にはとてもわからない。唯一、言えることは、今後、一定の時間を経てASFや新型コロナが完全に落ち着いた後、他に何の変化もなければ世界の豚肉輸出市場における米国のシェアは着実に増えている可能性がかなり高いということである。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。
三石誠司・宮城大学教授のコラム【グローバルとローカル:世界は今】

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