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違和感を覚えた生産量発表後の農水省の記者会見【熊野孝文・米マーケット情報】2020年10月6日

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このコラムの表題は「米マーケット情報」であるため、勢い「制度や助成金を見ずにマーケット(市場)を見よ」という視点に置いているが、今、コメの生産者や集荷業者、流通業者、団体まで含めて聞かれることは「価格対策はいつ打ち出されるのか」という事ばかりである。2年産の価格下落があまりにも早く、下げ幅が大幅であることから“対策”に期待するしかないのだろう。

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9月30日に公表された9月15日現在の2年産水稲の作柄発表の後の記者会見でも「政府備蓄米の追加買入はあるのか」という質問が出た。これに対して農水省は「噂は聞いているが、国の備蓄制度は不作時のための備え。需給調整のための買入はしない」と明言している。もう一つ記者から毎年、生産量が需要を上回っている。この生産量の変化をどう見ている? と質されたのに対して「需要に応じた生産を言っている。毎年11月の食糧部会で状況からの生産見通しをお願いしている。どう変わったかは皆さんの判断に任せるが、生産者の判断のものだと思っている」と答えている。こうした受け答えに流行の言葉を使えば違和感を覚えるのは筆者だけだろうか?

そもそも論としてなぜ主食用米の生産量が過剰になったのか? という事を糺すと最大の要因は政府備蓄米の価格が上がったからである。今年1月に実施された第1回目の2年産政府備蓄米買入入札が終わった直後、応札業者から「1万3880円で落ちた」と聞いた時は驚いた。落札価格の上限には農水省の内部ルールがあることは知っていたが、まさかこれほど高い価格にするとは思っていなかったからである。農水省もこうした価格が2年産主食用米増産のインセンティブに働くことは重々承知のはずなのにご丁寧にも豪州枠まで追加して買入入札を実施した。豪州枠はSBSで輸入した豪州米を主食用米に廻し、その分国産米を政府備蓄米として買入してエサに回すという方法だったので、生産者団体の怒りが爆発するのではないかと心配したが、まったくそうした動きもなく異論も出なかったので狐に抓まれたような気分になった。

不思議なことはまだある。政府備蓄米の高値買入で、生産者に主食用米は値上がりするというシグナルを送った結果、主食用米の作付が減らず、過剰になることが明確になったことから、今度は主食用米をエサ米や加工用米等に振り向けるため認定期限を延長した。

その結果も9月30日に発表されたが、北海道は加工用米の作付面積が800ヘクタールほど増えた。この数字を取りまとめた部署に聞いてみると加工用米として増えた分は冷凍米飯の原料に仕向けられるという。冷凍米飯は主食用ではないというのが農水省の判断なのでこうした芸当が出来る。北海道は加工用米に10アール当たり6万5000円もの助成金を付けているのだから1俵8000円で販売しても十分ペイできる。いっそのこと今伸び盛りのパックご飯向けの原料米も冷凍米飯と同じ加工米飯なのだから加工用米を使えるようにしたら良さそうなものだが、今のところこれは認めていない。今のところと記したのは事前に輸出するということで認定を受ければ新規開拓需要米という括りで10アール当たり2万円の助成金が受けられてることと包装餅のように本来加工用米を使えなかったところがいつの間にか使えるようになったという先例があるからである。清酒用かけ米にしても本来加工用米として認定されるものは原料用アルコールの使用を止めるか需要を増やすしかなかったのだが、いつの間にはそうした決めは無くなったかの如く加工用米のウエイトが高まった。それで清酒の需要が拡大すればまだしも年々減少の一途をたどっている。

平成20年当時水稲作付面積は164万ヘクタールあった。仕向け先別内訳は主食用160万ヘクタール、加工用2.7万ヘクタール、飼料用1.2万ヘクタール。これが令和2年産米では153万ヘクタールで、主食用136.6万ヘクタール、加工用4.5万ヘクタール、飼料用11.4万ヘクタール、備蓄用3.7万ヘクタールになっている。この数字から分かることは、本来主食用米として流通すべきものが、加工用米として認定され、そちらの範疇に入ったことと、飼料用米、備蓄米に回されたことである。分かりやすく言うと制度の括りを主食用か非主食用かに分け、本来主食用であるものを非主食用米の括りに入れることにしただけであり、こうした方法でコメ全体の需給を均衡させることが出来るはずがない。需給均衡対策が上手くいかないどころか、用途を法により縛りをかけてた結果、拡大すべきコメの需要用途が委縮していることである。産業政策としてコメを立ち直らせるためにはこうした政策は止めるしかないのである。

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

(株)米穀新聞社記者・熊野孝文氏のコラム【米マーケット情報】

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