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早期に戸別所得補償制度の実現を!【坂本進一郎・ムラの角から】第38回2020年12月16日

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今、嵐のような安倍農政が去って私はやれやれという感じがしている。なにしろ安倍農政は規制緩和・新自由主義を旗印に、弱肉強食のアベノミクスを駄々っ子のように実施してきた。「泣く子と地頭には勝てぬ」ということわざの通リ、こうなったら手傷を追わぬように静かにしているに限る。そうして我々は嵐が去るのをじっと待っていた。ソ~シテ安倍退陣で重しが取れ、気持ちが軽くなっている。もちろん、安倍農政期間中も所得補償実現の要求を行ってきた。しかし、それは絶望の中で希望を求めるようなもので、あまり期待は持てなかった。今回気持ちが軽くなったことや政界再編で個別所得補償制度がちらちら話題になってきた。しかも、営農生活もぎりぎりになってきた。このところで、新規捲き直しにより制度実現を求めるものである。

というのも、自民党政権は安倍農政を含めて、大企業は救うが中小企業、個人経営、農民には救いの手を伸べなかった。戸別所得補償制度の無視もそういう自民党の体質からきているのだろう。だが、コロナや災害救済の融資では個人を対象にしなければならなかった。その結果、自民党はこれまで国民や個人には何もしてこなかったので、混乱が起きた。しかし個人の苦しみ、個人単位にも目配りをしてくれるのでないかと期待したい。

それにしても、安倍政権のもとで何回か選挙を行ってきたが,小選挙区制度の問題もあるのだろうが、安倍の勝利となり国の体制に変化はなかった。国民は変化を求めなかったからであろう。グローバリゼーションの中で低所得者や農民が生活困窮化したのに国民は動かなかったようだ。この現象は不思議でもある。

それならヨーロッパはどうか。ヨーロッパは第二次大戦後戦争のない世界を目指したいとして、ヨーロッパ統合を目指した。そのため大雑把に言うと単一農業市場と単一通貨制度を目指した。この統合のけん引役のEC中央委員会は、加盟各国の上に超然と聳え指令は絶対的である。農業市場の単一化は、EC中央委員会の共通農業政策が担う。農民への補償は、市場価格がEC中央委員会の保証した保証価格より下落したとき発動される。このシステムが(最低)価格支持制度だ。これなら価格が下がるのでないかと気にしてしまわず、安心して農作業に励める。補償制度はECだけでなく各国も自由に実施していいので、ドイツの平衡給付金(山村の条件不利地対策)、イギリスのファーミングプログラムなど沢山ある。

その中でイギリスは特異だ。1943年開始のイギリスの丘陵地への羊飼育にたいするヒルファーミングプログラム。これは第一次大戦、第二次大戦で駆逐艦にやられてドーバー海峡の航行ができなくなりイギリスは食料調達に悩んだ。そこで冷涼な丘陵地で羊を飼った人に補助金を出すことにした。実はイギリスは世界の工場として1846年に自由貿易を宣言した。しかしその100年後の1947年保護貿易に転換し、農業法を制定した。

この農業法と同時に価格支持制度に似た「不足払い制度」を発布した。余談になるが、1972年イギリスのEC加盟にあたって、ドゴールフランス大統領はイギリスがECに加盟するのはいいが将来ECの足を引っ張らなければいいがとつぶやいたという。今回のイギリスのEC脱退劇はドゴールの心配が的中したようだ。ただイギリスはEU加盟にあたって、羊のように条件不利地での飼育を認めさせた。これはイギリスの功績であろう。

実は日本にも戸別所得補償法があった。それは民主党政権、2009年の時である。だが自民党に選挙で負けると戸別所得補償法は無残にも捨て去られた。元来農業にイデオロギーはなじまないし、不要な時もある。戸別所得補償法のように土に密着した農業部面はイデオロギー不要だ。

戸別所得補償法は指針を与えれば、粛々と法律だけでもできるのだ。戸別所得補償法のきっかけは19世紀末、交通革命によってアメリカとロシアから大量の輸入農産物がヨーロッパに流れ込んだ。これによってヨーロッパに恐慌がおきた。この時ヨーロッパの人々は、農業は工業とは違うということを学んだ。

フランスに行ったとき、パリから1時間くらいのサムボアのカルチエ農場を訪れカルチエさんに話を聞いていると、どこからかFAXが入った。カルチエさんはこのFAXを見せてくれた。乳価と餌それに乳量の関係が記入してあった。補償金が純所得の7割とべラボーに多かった。私が「もらいすぎでないか」冷やかすと「補助金の額が莫大のように見えるかもしれませんが、これは、経済、社会、そして環境問題を投げ売り(ダンピング)することによって、人為的に低下させられている農業生産物の国際価格(アメリカ)にヨーロッパのそれがどんどん近づけさせられているからです」と返ってきた。

それにしてもECの農民は寒い荒野に投げられても羽織るものを羽織っているが、日本の農民は荒野に裸のまま投げ捨てられている。EC農民の爪の垢でも煎じて飲みたいと思ったほどだ。

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坂本進一郎【ムラの角から】

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