〈三〉づくしを考える 歴史的な出来事に驚く【記者 透視眼】2021年3月1日
きょうから弥生3月。3日は〈春〉という一字が浮かぶ「桃の節句」。今年は令和3年3月3日と〈三〉が3つも並ぶ日取り。3月3日は歴史的な出来事も多い。〈三〉づくしを読み解く。(敬称略)
〈桃紅〉を先人に学ぶ
毎年、「桃の節句」の頃に思い出す書家がいる。以前、作家の五木寛之に、帝国ホテルでの講演の後、「篠田桃紅に実際にお会いしたことは」と聞いたことがある。五木が「あの高齢ですごい人です」と紹介したからだ。
篠田桃紅は1913年(大正2)3月生まれで、間もなく108歳になる。従弟に「ゾルゲ」などを撮った映画監督・篠田正浩。書家、芸術家、エッセイスト。凜とした佇まい。著書を読むと「帝国ホテルで、あれが芥川龍之介なのかと思った」などとある。まさに歴史の証人。しかも米国で個展を開くなど、いまだに現役だ。
〈桃紅〉の名は父が付けた。中国の古典『詩格』にその一節はある。〈桃紅李白薔薇紫 問著春風總不知〉。桃は紅、李(すもも)は白、薔薇は紫。春の風は一色で吹いているのに、その理由を尋ねても知らぬとしか答えない。だから「桃の節句」を迎え春風に当たると、この書家が浮かぶ。
令和3年3月3日と東京タワー
平安時代に始まったとされるひな祭りの源流を今も伝える一つ、福岡・太宰府天満宮の「曲水の宴」は平安装束を身にまとい、和歌を詠む。コロナ禍に負けないで開くだろうか。
今年は〈三〉づくし。象徴的なのは令和3年3月3日、1958年(昭和33)に完成した333メートルの東京タワー「タワー大神宮」へのオンライン参拝だ。コロナ禍、自宅パソコンで参拝できる。他に鉄道各社が〈三〉づくしで記念切符を販売する。
昭和三陸地震も起きた
さらに〈三〉づくし。1933年3月3日にマグニチュード8.1の昭和三陸地震が起きる。巨大津波も発生し3000人以上が犠牲となる。詩人で作家の宮沢賢治は同年逝く。賢治は生まれた時も大地震があり、最期も大地震が起きた天変地異の運命の人だった。
そして悲劇は繰り返す。昭和三陸地震から78年後の2011年3月11日、三陸沖を再び大地震が発生する。
3月3日の歴史的出来事
3月3日は日本史の転換点となった歴史的出来事もあった。
江戸幕府成立直後の1603年3月3日、日本橋が開通した。ここが起点となり、東西南北に張り巡らされた街道で日本の交通が発達。物流が盛んとなり経済発展につながる。
特筆すべきは幕末の動きだ。いずれも陰暦だが、1854年3月3日ペリーの黒船来航に伴い横浜で「日米和親条約」締結。これにより日本の鎖国政策は終わる。そして4年後の1858年(安政5年)に「日米修好通商条約」を結ぶ。関税自主権の放棄と領事裁判権承認という不平等条約だった欧州列強の他国とも同様の条約を交わし〈安政の不平等条約〉と称される。関税自主権を回復したのは日露戦争勝利後の半世紀も後だ。それから約160年後の環太平洋連携協定(TPP)は原則ゼロ関税で安政不平等条約の〈再来〉と言われた。
「日米和親条約」から6年後の1860年3月3日に水戸潘元藩士らによる「桜田門外の変」。季節変動が歴史に差配する。当日降った季節外れの大雪が襲撃側に有利に働いた。彦根藩主で専制政治を執っていた大老・井伊直弼が暗殺され、江戸幕府の権威は地に墜ちる。
それから7年7カ月後には最期の将軍・徳川慶喜が権力を朝廷に返す「大政奉還」を行う。さらに翌年には明治維新で新政府ができ、日本は列強ひしめく国際社会の荒波に漕ぎ出す。
時宜に適う出逢う
一世紀以上生きてきたことだけはある。先の篠田桃紅の言葉は含蓄豊か。〈自らに由(よ)らば、人生は最後まで自分のものにできる〉〈夢中になれるものが見つかれば、人は生きていて救われる〉。そして極めつけは〈時宜に適(かな)って、人は巡り合い、金の言葉に出逢う〉。
令和3年3月3日の〈三〉づくし。記者の〈透視眼〉からは、国民の心に届く〈金の言葉〉を一切発せず漂う菅政権の行く末が見える。
(K)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】ブロッコリーの黒すす症状 県内で初めて確認 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】花き類、野菜類、ダイズにオオタバコガ 県内全域で多発のおそれ 愛知県2025年7月3日
-
【注意報】ネギ、その他野菜・花き類にシロイチモジヨトウ 県下全域で多発のおそれ 富山県2025年7月3日
-
【注意報】りんご、なしに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】ねぎにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 宮城県2025年7月3日
-
【注意報】セイヨウナシ褐色斑点病 県内全域で多発のおそれ 新潟県2025年7月3日
-
【注意報】いね 斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 山形県2025年7月3日
-
【人事異動】農水省(7月4日付)2025年7月3日
-
花産業の苦境の一因は生け花人口の減少【花づくりの現場から 宇田明】第63回2025年7月3日
-
飼料用米 多収日本一コンテストの募集開始2025年7月3日
-
米の民間在庫量 148万t 備蓄米放出で前年比プラスに 農水省2025年7月3日
-
【スマート農業の風】(16)温暖化対応判断の一助にも2025年7月3日
-
令和7年度「家畜衛生ポスターデザインコンテスト」募集開始 農水省2025年7月3日
-
農業遺産の魅力発信「高校生とつながる!つなげる!ジーニアス農業遺産ふーどコンテスト」開催 農水省2025年7月3日
-
トロロイモ、ヤマノイモ・ナガイモ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第347回2025年7月3日
-
【JA人事】JA町田市(東京都)吉川英明組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
【JA人事】JAふくおか嘉穂(福岡県)笹尾宏俊組合長を再任(6月26日)2025年7月3日
-
国産農畜産物で料理作り「全農親子料理教室」横浜で開催 JA全農2025年7月3日
-
ダイナミックフェア2025出展のタイガーカワシマ、東海物産を紹介 JA全農いばらき2025年7月3日