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農水省再編と幹部人事 「政治とカネ」焦点は次官と畜産局【記者 透視眼】2021年6月18日

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7月に農水省は組織再編を実施する。それに伴う幹部人事は、25日の閣議後の農相会見で行う予定だ。最大の焦点は、次官と組織再編の目玉である約20年ぶり復活の「畜産局」局長ポスト。「政治とカネ」が行方を翻弄する。

食品産業局を事実上「解体」

7月発足の新部局は「輸出・国際局」「農産局」「畜産局」、さらに大臣官房に「新事業・食品産業部」を置く。事実上の食品産業局の〈解体〉だ。

もともと食品産業局は一つの単独局としておくことに異論があった。さらに政治との関係の深い畜産部門は、自民農林族や関係団体から単独局復活の待望論が根強くあった。

「畜産局」と政治力学

畜産と政治は切り離せない。以前の畜産局長は官僚としての能力をもちろん、政治との調整も日常的にこなすため大物官僚が就いた。後にトップの事務次官や参院議員に転じたケースも多い。つまりは今回の20年ぶりの畜産局復活劇は、自民党内部の政治力学を映す。主導したのは南九州・宮崎出身の前農相・江藤拓だ。さらにバックには事実上の農林族トップで元農相の畜産議員・森山裕国対委員長の存在が大きい。

農水省は、組織再編について特に畜産局で「今後の一層の輸出拡大の主翼を担う」と説明している。〈主翼〉と特別な表現を使い単独局復活の理由を強調している。

畜産部長は技官で円滑

これまで畜産部署は農産分野とともに生産局の下に置かれていた。トップは畜産部長である。政治力学が強く働く同分野で部長がトップとは何とも荷が重かったはずだ。そこで、生産局長が国会審議や自民農林合同会議で畜産分野の様々な案件をこなさざるを得なかった。

畜産部長は大きな権限を持ち、これまでキャリア組と技官が交互にポストに就いてきた。現在の事務次官の枝元真徹は生産局長時代、規制改革の標的となった現行指定生乳生産者団体制度廃止を伴う生乳改革などで苦労を重ねた。取材するとよく「畜産部長のポストは団体と腹を割って話せる技官の方が適任だ」と話していた。

難しい畜産課題をこなすには、それぞれ畜種ごとに強力な政治力を備える農業団体との円滑な調整が不可欠だったからだ。

鶏卵汚職が暗い影

ただ今回、畜産局復活となると局長はやはりキャリアが就く。これまでの畜産部長は、局長を補佐する畜産審議官に代わる。

組織再編も伴う農水幹部人事は25日の閣議後会見で公表する見込みだ。では次期次官も見据えることになる畜産局長は誰になるのか。以前なら人当たりが良く畜産部長をこなす渡辺毅が有力との見方が強かった。ところが、「政治とカネ」は農水省幹部全体の人事の大きな波乱要因となっている。

鶏卵大手「アキタフーズ」による鶏卵汚職問題で、農水省は2月末、在宅起訴となっている元農相・吉川貴盛と「アキタフーズ」前代表との会食に同席した農水幹部6人を処分した。この中には将来を有望視された畜産関連官僚らが多く含まれる。渡辺もその一人だ。処分されると1年間は昇格がない。

有望な人材に影響

次期事務次官をどうするのかも大きな焦点だ。枝元は先の鶏卵汚職で減給処分となった。ただ関係者の間では「農相に会食を請われれば断れない」と、気さくな人柄の枝元に同情論もある。

若手有力官僚の一人で、渡辺と同様に戒告の懲戒処分を受けた望月健司農地政策課長。吉川農相当時に食肉鶏卵課長で、まさに鶏卵行政の直接的な担当部署を担った。望月は畜産振興にさまざまな政策を編みだし馬力があり評価が高かった。筆者も農水OBにある食肉関連団体のパーティーで紹介されたが、なかなか歯切れがいい官僚だと実感した。

「奥原派」の行方

一方で、幹部人事では、「官邸農政」を牽引し強引な改革を進めた奥原正明元次官と関係の深い幹部の処遇も焦点だ。関係者からは農水省内の「奥原派」とも称される。中でも注目されるのは、次官レース候補の一人、水産庁長官の山口英彰の処遇だ。経営局で農協改革、水産庁で水産改革を主導し官邸に近い「改革派」官僚の代表でもある。

記者の〈透視眼〉でのぞけば、「政治とカネ」と行き過ぎた改革の軌道修正の〈姿〉が見える。

(K)

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