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「平和的国防産業」をつぶす気か【小松泰信・地方の眼力】2021年9月22日

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2019年産米の「資本利子・地代全額参入生産費」(個別経営・全国)は60kg当たり15155円。物財費(9180円)と労働費(4007円)の合計である費用合計は13187円。(農水省「農業経営統計調査」2020年12月25日更新)

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費用合計すら賄えない稲作経営

「21年産米概算金2、3割下げ中心 業務用銘柄ほど減額」の大見出しは日本農業新聞(9月11日付)の1面。

米の主要産地におけるJA全農県本部や経済連がJAに提示する2021年産米の価格、いわゆる概算金が出そろった。前年産から2、3割(2000~3000円)下げが中心で、業務用途の銘柄は下落幅が大きい。主要銘柄の概算金は2年連続の下落となり、米価が大幅に低迷した14年産に次ぐ低い水準が多く、JAの経費などを控除すると農家に支払われる概算金・買い取り価格は、主要銘柄でも1万円を下回るケースがある、とのこと。同紙3面では、「21年産は産地が主食用米の生産抑制に取り組み、需給均衡に必要とされる全国で6.7万ヘクタールの作付け転換をほぼ達成する見込み」にもかかわらず、「概算金を引き下げざるを得ないのは、新型コロナウイルス禍や米離れにより、国の見通し以上に需要が落ちたため」とする。このような稲作経営の危機的事態において、「市場隔離についての要望が産地やJAグループ、与野党議員などから挙がる」にもかかわらず、農水省は「需要に応じた米生産を後退させない」と一貫して否定的な姿勢をとっていることも報じている。同紙(9月15日付)の論説は、「過去最大規模の転作拡大に取り組んでも米価が下落し、22年産でも強化されるとなると、稲作経営への影響だけでなく米政策への信頼も揺らぎかねない。低米価が定着する前に政府・与党は、需給の改善策をとるべきだ」と訴える。

食や地域の未来に関わる米価の安定

「生産者にとっては、出来秋の大幅減収が避けられない深刻な状況だ。在庫状況から一定の減額は予測できたとはいえ、軒並み2~3割の落ち込みには『予想以上』との声が多く聞こえる。農家経営が厳しさ増すのは必至だ。自治体や農協グループは支援策の検討を急ぐべきだろう」で始まる河北新報(9月16日付)の社説は、東北各県の主力品種の概算金を紹介している。

宮城県の「ひとめぼれ」が前年産に比べて3100円低い9500円に設定され、7年ぶりに1万円を割り込む。
青森県では、概算金の「目安額」として「まっしぐら」8000円、「つがるロマン」8200円を各農協に提示。下げ幅はともに過去最大の3400円となった。
岩手県の「ひとめぼれ」と山形県の「はえぬき」、福島県会津の「コシヒカリ」は1万円、秋田県の「あきたこまち」は1万600円を維持したが、いずれも2000~2600円の減。
高級路線を狙った後発のブランド米の苦境が目立つとして紹介したのが、宮城県の「だて正夢」1万円で、4300円もの大幅減。 山形県の「雪若丸」は1万600円で2300円の低下。
「主な国産米はおいしくて当たり前の時代となり、食味偏重のブランド米市場は既に飽和状態と言える」として、「米価の立て直しには、いびつなブランド競争を見直し、飼料用、加工用と均衡の取れた稲作への転換が前提となることも忘れてはなるまい」と警鐘を鳴らす。

愛媛新聞(9月19日付)の社説は、「各産地からは、国の見通しの甘さを非難する声が上がっている。国の方針に沿って減産に努力しても、この結果では農政の信頼が揺らぐ。大規模農家ほど痛手は大きく、現場の意欲がそがれるのも無理はない」とする。
そして、「自国民の食を確保する食料安全保障の重要性が増している点に強く留意」することを求め、「産地が前向きになれるよう大胆な支援策を講じるべき」とする。なぜなら、「米価が下がり続ければ、生活設計が描けず、離農する人が出てくる。条件の不利な集落ではなおさらだろう。地域経済の疲弊に伴う損失は計り知れない。米価の安定は食や地域の未来に関わる」からである。
当然、「多額の税金投入も避けられないだけに、在り方について国民的な議論を深めたい」と訴えている。

給料3割カットでも怒らない?

朝日新聞(9月15日付)は、青森県における関係者の声を紹介している。
「新型コロナの感染状況がどうなるのか全く見えない。産地の努力でどうにかできるレベルを超えている」と危機感を示すのはJA全農あおもりの米穀部長。JA青森中央会と青森県農協農政対策委員会は、県選出の国会議員らに対し、農家への支援や再生産に向けた対策、収入減少影響緩和対策(ナラシ対策)の早期発動と減収の補?(ほてん)、国の備蓄米の買い入れ枠の拡大、などを求める緊急要請を行うとのこと。
青森市の農事組合法人「羽白開発」の関係者は「まさか9千円を割るなんて。経営が成り立たない値段だ」「(例年と比べ)1千万円は収入が下がる。加入している収入保険の条件に該当すればいいが」と語る。
田舎館村の「ライスファクトリー」の社長も「会社員の給料が3割カットされるのと同じ。農家はどうやって暮らしていけばよいのか」と語り、JA青森が低金利融資を始める準備をしていることに関して「融資も結局は借金。農家にとってはいま組んでいるローンの返済期限を延長するほうが助かる」と訴えている。

大きくなる「平和的国防産業」の存在意義

「農民」(9月13日付)は、「今収穫している米の生産者価格が9000円を切る水準になっており、主食である米の生産が続けられないという事態にまで追い込まれています。(中略)9000円米価とは、すでに支払った現金の回収すらできない水準で、大規模農家を含めて赤字です」と、その窮状を訴えている。
中山間地域のような耕作条件の悪い所はこれ以上の費用が投入されている。ちなみに中国地方の資本利子・地代全額参入生産費は20709円である。低米価が及ぼす影響の大きさは容易に想像できるだろう。今でさえ、やめ時を考えながらの米づくり。その赤字を早急に補填し、持続可能な稲作経営を構築しない限り、万事休すとなるのは時間の問題である。
米づくり全般、とりわけ条件不利地での米づくりを、高コスト故に早くやめてほしいと願う勢力においては、高みの見物かもしれない。しかし、国の内外における不確実性が高まる中、生活と一体となった家族経営で、主食を生産しながら、多面的機能を創出することによって、国土の保全・防衛を果たす「平和的国防産業」の存在意義は、間違いなく大きくなっている。

「地方の眼力」なめんなよ

本コラムの記事一覧は下記リンクよりご覧下さい。

小松泰信氏のコラム【地方の眼力】

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