先端科学も天候は変えられない【原田 康・目明き千人】2022年6月4日
毎年5月には山梨の南アルプスの農家から桃やスモモなどの季節の果実をネットで買っているが、今年はサクランボの出荷が出来ないとのことであった。
4月のサクランボの開花時期に25度以上の高温が続いた。サクランボの花粉が傷んで交配が不調のためにこの地域では今までに経験をしたことのない不作で、平年の20~30%の収穫で売り物になるサクランボがないので今年はお休みであった。
天候が農家に与えるダメージを改めて知らせる出来事である。コメ、野菜、果実は種まき、定植、受粉、結実、肥大が天候に合わせた栽培管理となる。沖縄、九州から北海道まで日本列島の各地域の四季の気候条件に合わせた作物、品種を選んでの栽培となる。稲作を例に見ると田植えから夏の生育期、秋の収穫まで農家は毎日田んぼを見て稲の生育状況、天候に合わせて田んぼの水を深くしたり浅くしたりの管理をしている。
現在は、「スマート農業」が普及しており、AIやICT等の先端技術を活用してロボットによる農作業の自動化、ドローンによる上空からの生育状況や、病虫害駆除、AIによる田んぼの水の管理の自動化などが普及している。
さらにデータのプラットフォーム「WAGRI」(ワグリ)によりいろいろなデータを集め分析をして活用をする体制も作られている。「WAGRI」・農業データ連携基盤は農研機構農業情報研究センターが事務局となり農産物、畜産物の生産から流通、気象など行政機関、各団体、企業等関係者が個別に集めているいろいろなデータを集約、共有、提供。生産から消費者まで関係する農家や各団体、行政機関、各団体、企業に提供をする体制も作られている。
このように先端の技術も農業をサポートする仕組みが出来てはいるが、稲の例のようにようやく収穫の出来る時期に異常気象の低温、高温、集中豪雨、台風が来るとこれまでの努力が水の泡となり、ほとんど収穫がゼロの災害が起きる。野菜や果実も同じ条件である。毎日の食卓に並んでいるご飯、野菜、果実、牛乳、卵、肉類はこのようにして作られていることを思い出すことが農業への理解を深めることとなる。
(原田康)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(146)-改正食料・農業・農村基本法(32)-2025年6月14日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(63)【防除学習帖】第302回2025年6月14日
-
農薬の正しい使い方(36)【今さら聞けない営農情報】第302回2025年6月14日
-
群馬県の嬬恋村との国際交流(姉妹)都市ポンペイ市【イタリア通信】2025年6月14日
-
【特殊報】水稲に特定外来生物のナガエツルノゲイトウ 尾張地域のほ場で確認 愛知県2025年6月13日
-
【注意報】りんごに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 岩手県2025年6月13日
-
SBS輸入 3万t 6月27日に前倒し入札2025年6月13日
-
米の転売 備蓄米以外もすべて規制 小泉農相 23日から2025年6月13日
-
46都道府県で販売 随意契約の備蓄米2025年6月13日
-
価格釣り上げや売り惜しみ、一切ない 木徳神糧が声明 小泉農相「利益500%」発言や米流通めぐる議論受け2025年6月13日
-
担い手への農地集積 61.5% 1.1ポイント増2025年6月13日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】生産者米価2万円との差額補填制度を急ぐべき2025年6月13日
-
井関農機 国内草刈り機市場を本格拡大、電動化も推進 農機は「密播」仕様追加の乗用田植え機「RPQ5」投入2025年6月13日
-
【JA人事】JA高岡(富山県)松田博成組合長を新任(5月24日)2025年6月13日
-
【JA人事】JAけねべつ(北海道)北村篤組合長を再任(6月1日)2025年6月13日
-
(439)国家と個人の『食』の決定権【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年6月13日
-
「麦とろの日」でプレゼント 東京のららぽーと豊洲でイベントも実施 JA全農あおもり2025年6月13日
-
大学でサツイマイモ 創生大学と畑プロジェクト始動 JA全農福島2025年6月13日
-
JA農機の成約でプレゼントキャペーン JA全農長野2025年6月13日
-
第1回JA生活指導員研修会を開催 JA熊本中央会2025年6月13日