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(291)パキスタンのコメ輸出戦略【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2022年7月22日

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パキスタンのコメ輸出が急増しています。同国のコメ生産量は2022/23年度で890万トン、国内需要410万トン、そして輸出490万トンが見込まれています。

世界のコメ生産を見ると、1位の中国と2位のインドが圧倒的な存在感を示している(表1左)。パキスタンは生産量890万トンで第9位、ランキング上は日本のすぐ上に位置する。

表1 世界のコメの生産量と輸出量

生産量のランキング表で注意すべき点は他にもある。中国とインドで世界のコメ生産の54%を占めていること、1~8位までの合計生産量は世界の生産量の82%となり、パキスタン以下は日本も含め、全生産量の2割以下の世界に位置しているということなどだ。

表1右は、コメの輸出国ランキングである。インドの2,200万トンは別格であり、世界のコメ輸出の4割を占めるが、日本では余り認識されていないのではないか。昨年の輸出量が2,150万トン、一昨年が2,124万トンと、2020年代以降のインドはコメ輸出では圧倒的な存在感を示しているが、2018年にはわずか981万トンしか輸出していなかった。コメ輸出は大きく動いている。

タイとヴェトナムはコメ輸出の老舗プレーヤーである。両国とも国内コメ需要を大幅に上回る生産量があるため、昔から国際コメ市場では重要な輸出国として知られてきた。

ところで、生産国(表1左)と輸出国(表1右)をじっくりと見比べてほしい。生産国上位にありながら輸出国のランキングに名前が無い国がいくつかある。好例はバングラデシュとインドネシアだ。バングラデシュは3,600万トンのコメを生産する世界第3位のコメ生産国だが、国内需要3,680万トン、インドネシアの生産量は3,460万トンだが、国内需要3,505万トンと、両国ともに大量生産・大量消費の仕組みを自国内だけで回すのに精一杯である。

年間1,000万トン以上の生産国で言えば、ミャンマーには若干の輸出余力があるが、フィリピンは年間200~300万トン程度輸入しないと需要を賄えない。

これらとは逆に生産量が少なくても輸出ランキングで上位にいる国が米国、そしてパキスタンである。米国のコメ輸出については色々と思いがある方が多いと思うため、ここではパキスタンを例としたい。生産量で約15倍というコメ生産大国の隣に位置しながら、輸出では老舗のタイ・ヴェトナムのすぐ下という好位置、戦略的に見れば非常に上手い戦い方を示している。

もちろん、過去2年間豊作ということもあるが、実は輸出戦略が非常にわかりやすい。

パキスタンが輸出するコメは基本3種類だ。最高級がバスマティ米、次に通常品質のコメ、そして最後は破砕米である。これら各々は当然ながら輸出先、つまり顧客が異なる。

バスマティ米はEU+イギリスと中東(UAE、サウジ・アラビア)向けである。これに対し、通常のコメはケニヤ、モザンビーク、タンザニアなどのアフリカ諸国と近隣各国へ輸出している。そして、最後の破砕米はどこかと言えば、中国向け輸出である。これだけで十分にわかるが、顧客のニーズに合わせた形で、しっかりとコメの輸出先を分け、「コメ」とひとくくりにしていない点に注意してほしい。

多少補足すれば、中国は2022/23年度だけで見ても生産量1億4,900万トンに対し、需要量1億5,660万トンと、差し引き760万トンが不足する。多少の在庫を考慮しても年間輸入数量は600万トン水準、つまり日本のコメ生産量全体に匹敵する量が毎年不足するのが現実である。そうであれば、コメを輸入するなら、まず飼料用の破砕米から...、というのはビジネスとしても極めて筋が通る。パキスタンがそれに応えたということだ。高品質でなくてもニーズに応えればビジネスが成立する好例である。

それにしても、天候、作柄、在庫、為替レートなどいくつかの要因が重なったとはいえ、パキスタン、なかなかの動きである。

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コメ大国インドに比べて意外と見落としがちですが、顧客をよく見てしっかりと輸出でポイントを獲得しています。日本も頑張ってほしいと思います。

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