外国の軍隊の駐留する基地と同居の平和ボケ【原田 康・目明き千人】2022年9月3日
日本の安全保障はアメリカ軍の日本への駐留という方法で行われている。日本は1952年のサンフランシスコ講和条約により独立国となったが独立後も日本を守るためにそのまま駐留する米軍の権利(正確には特権)について日米で取り決めた「日米地位協定」が作られ、1960年の日米安保条約の改定と共に成立した。以降、70年間改訂せずに時の政府の運用で行われている。
これらについて、歴史的背景と内容を詳しく解説した本が出版された。「日米地位協定の現場を行く」山本章子・宮城裕也共著、岩波新書(2022年5月)である。
アメリカの軍隊の駐留の実態についてこの本の要点をお借りして紹介する。(引用箇所等についての表記は省略をしたので是非この本をお読みください)。
先ず、基地の規模であるが飛行場、演習場、兵舎、通信施設等を併せて全国に132の施設、区域があり面積は18万6972平方メートルである(2021年1月現在)。沖縄に33、本土99で、沖縄と北海道では県内の全域に各施設がある。基地の周辺の住民は爆撃機の騒音や基地内から出る軍事用に使用された薬品類の汚染水の流出等で水道の水が飲めない。交通事故も多発している。
基地の地理的な特徴として都市の周辺部から地方へ押しやることや、財政的な補助金で世論も少数意見となる。全国にある基地の周辺の住民の騒音や汚染水などの被害が出ても米軍が改善しないのは軍隊の行動様式そのものが戦闘状態を想定しているからである。基地の活動が周辺の住民の生活とは全く関係なく行われる、爆撃機の編隊が低空飛行をするのことは極めて当然のことである。
「日米地位協定」では米軍基地・施設の返還や縮小が出来ない、米軍関係者の起こした事故、事件の捜査や責任の追及が出来ない内容である。安保条約ではアメリカと日本の「同盟関係」は米軍の駐留と切り離せない構造となっている。戦後、憲法第9条により戦争を放棄したが日本の安全保障を米軍の駐留によって確保するという政策をとってきた。歴代の政府も日米同盟の強化を方針としてきたが最近の首相はこれを更に強化するとの発言となっている。
国際関係が複雑となっている現在、日本がアジアの各国と仲良くやっていくためには日本の国民が戦後の70年間努力して今日の日本国があることを理解してもらうことであろう。
(原田 康)
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