農協の販売事業の出番【原田 康・目明き千人】2022年10月1日
コメ、野菜、果実、畜産物などの生産の場である川上から川中、川下、エンド・ユーザーまでの流通の各段階がそれぞれの機能を発揮ができるように川上の生産物を提供するのが農協の販売事業である。工業製品と違ってコメ、野菜、果実等の農産物は生育、収穫の時期の天候によって品質、サイズ、数量が計画通りにはそろわない。畜産物も同じ飼料、肥育管理をして生体の時は同じように見えても枝肉にすると個体別の違いが大きい。
世界のあちこちで紛争が起きトウモロコシ、小麦、大豆、コメ等の生産、収穫、物流のゴタゴタでどこの国も主要な食料の確保が必要な情勢となっている。
日本の農産物、畜産物の生産力を基準とした「食料の自給率」は67%、輸入品を差し引いた「カロリーベースの自給率」の38%が改めて課題となっている。外国の安い食料を輸入した結果である。
日本の農業は小規模、家族農業が中心でいろいろな品種のコメ、野菜、果実の主要な産地といわれている地域は土地、気候、地域社会のいろいろな制約の中で農家の努力によってその地域に合った品目、品種の生産が維持されている。日本列島の沖縄から北海道まで約3カ月ごとに収穫時が北上している。
収穫された野菜、果実は品質、サイズ等もまちまちで農家はその中から品質が秀、優、サイズがL、Mの商品価値の高い物だけを販売をするのではなく収穫した物を全部売らないとやっていけない。このような川上の生産段階の実態を踏まえて全国の川中、川下、エンド・ユーザーのそれぞれが必要とする規格、品質、数量、納期に応えて各段階の業者がビジネスとして成り立つように原料を供給しているのが農協組織の共同販売事業の仕組みである。
単協が農家から収穫をしたものを全部引き受けて農協の選果場で規格別に選別をして商品化して、単協、県連合会、全国連合会・全農が機能を分担して販売している。農家への精算は選果時に農家が出荷したものを農家ごとの規格別の数量を記録しておき、販売した規格別の単価で支払いをしている。
畜産物も同様の方法でやっている。昨今の情勢は農協組織が一体となって販売事業を行い、食料の安全保障をめぐるグローバルな規模の課題に対応をする出番である。
(原田 康)
重要な記事
最新の記事
-
「良き仲間」恵まれ感謝 「苦楽共に」経験が肥やし 元島根県農協中央会会長 萬代宣雄氏(2)【プレミアムトーク・人生一路】2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(1)2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間特集】現地レポート:福島県JA夢みなみ岩瀬倉庫 主食用米確かな品質前面に(2)2025年4月30日
-
アメリカ・バースト【小松泰信・地方の眼力】2025年4月30日
-
【人事異動】農水省(5月1日付)2025年4月30日
-
コメ卸は備蓄米で儲け過ぎなのか?【熊野孝文・米マーケット情報】2025年4月30日
-
米価格 5kg4220円 前週比プラス0.1%2025年4月30日
-
【農業倉庫保管管理強化月間にあたり】カビ防止対策徹底を 農業倉庫基金理事長 栗原竜也氏2025年4月30日
-
米の「民間輸入」急増 25年は6万トン超か 輸入依存には危うさ2025年4月30日
-
【JA人事】JAクレイン(山梨県)新組合長に藤波聡氏2025年4月30日
-
【'25新組合長に聞く】JA新潟市(新潟) 長谷川富明氏(4/19就任) 生産者も消費者も納得できる米価に2025年4月30日
-
備蓄米 第3回は10万t放出 落札率99%2025年4月30日
-
「美杉清流米」の田植え体験で生産者と消費者をつなぐ JA全農みえ2025年4月30日
-
東北電力とトランジション・ローンの契約締結 農林中金2025年4月30日
-
大阪万博「ウガンダ」パビリオンでバイオスティミュラント資材「スキーポン」紹介 米カリフォルニアで大規模実証試験も開始 アクプランタ2025年4月30日
-
農地マップやほ場管理に最適な後付け農機専用高機能ガイダンスシステムを販売 FAG2025年4月30日
-
鳥インフル 米デラウェア州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入停止措置を解除 農水省2025年4月30日
-
埼玉県幸手市で紙マルチ田植機の実演研修会 有機米栽培で地産ブランド強化へ 三菱マヒンドラ農機2025年4月30日
-
国内生産拠点で購入する電力 実質再生可能エネルギー由来に100%切り替え 森永乳業2025年4月30日
-
外食需要は堅調も、物価高騰で消費の選別進む 外食産業市場動向調査3月度 日本フードサービス協会2025年4月30日