【JCA週報】今、何が求められているか(森田邦彦) (1986)2022年12月12日
「JCA週報」は、日本協同組合連携機構(JCA)(会長 中家徹JA全中代表理事会長、副会長 土屋敏夫日本生協連代表会長)が、各都道府県での協同組合間連携の事例や連携・SDGsの勉強会などの内容、そして協同組合研究誌「にじ」に掲載された内容紹介や抜粋などの情報を、協同組合について考える資料として発信するコーナーです。
今回は、「協同組合経営研究月報」1986年2月号に、当時の協同組合経営研究所 研究員であった森田邦彦氏が執筆された「今、何が求められているか」です。
今、何が求められているか(1986)
財団法人 協同組合経営研究所 研究員 森田邦彦
「協同組合とは何か」と問われれば、「カネやモノが人を使うのではなく、人がカネやモノを使う人間主体の、人間尊重の原理だ」と答えよう。
「その目的は何か」と問われれば、「われわれの次の世代に、よりよい環境と文化とを伝えることである」と自信を持って答えよう。
この様なことを言うと、「この競争社会に他人のことまで、かまって生きていけぬ。自分、そして自分の属する組織こそ優先だ」という反論が必ず返ってくる。
しかし、考えてもみてほしい。自己の利益優先のエゴイズム社会の中で他の人なり組織を自己の利益のための存在とみなす心に、どうじて互いに助け合う協同の心が育ちえようか。
戦後の経済成長は農家の兼業化を促進し、農村=貧困という図式を過去のものにした。組合運動の目的が組合員の経済的地位の向上のみにあったとすれば、その目的は、ほぼ達せられたのだ。組合員が組合をもはや必要としなくなったとすれば、その目的こそ問い直さなければならないだろう。組合員を顧客化し経済事業のみで進めてきた組合ほど今その方向をさがしあぐねている。
そこではホンネとタテマエが使い分けられる。
豊かな社会,飽食の時代と言われてもなお,産業界は人々の欲望を煽ることに必死である。缶ビールが百十種類もあり、あるいは、より多い利益を求めて、時には毒物の混入も敢えておこなう。
人々に「何を売るか」ではなく「何を売らないか」を知り、社会の保護者としての機能を発揮する、これこそ今後の協同組合の一つの役割と言えないだろうか。
自分の子供にだけは安全な物を食べさせたい、と願う心が主婦を生協への参加ヘと促し,見知らぬ都会の消費者も自分の家族と同じ、と思う農民の心が農薬の少ない農産物を作っていることを見過ごしてはならない。
今年(1986年)の協同組合の最大課題は金融自由化対策だという。
金利のみが預金者を繋ぐものなら,金利で得た顧客は金利で失うだろう。
金利で組合員の欲望は刺激できても協同心を育てることは出来ないのだから。
協同組合経営研究所 協同組合経営研究月報 1986年 2月号 No.389 より
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