ベース・アップによる格差の拡大が心配だ【原田 康・目明き千人】2023年3月4日
基本給やボーナスの新年度の改定に向けて交渉が行われている。「労使交渉」方式は経営者側がリードをすることとなり、かっての「春闘:春期賃上げ闘争」の交渉方式とはずいぶん異なった方式である。
「春闘」は、給与の改定については経営者側と労働者側が上下の関係ではなく対等の立場で交渉をする方式であった。
ベ・アはいくら上げるか、何%上げるかという平均値で公表をされるが、個々の労働者にとっては自分の給料がいくらになるか である。「春闘」方式では各企業の給与規定についても労使が納得のいく内容となることも交渉の対象とした。
個人の基本給を決める査定を公平なものとするためである。
現在は終身雇用、年功序列等の大きな枠組みからAI等の先端技術、働き方改革、グローバル下での国際競争などの環境の変化に応じた個人の能力を重視したものになった。個人の給料を決める査定の基準が重要となる。例えば、セールス関連の営業部門であれば個人が自動車を何台売ったか、金融関係であれば貯金、保険,債券等の契約をいくらとったかが個人の成績が数字で出るので査定の基準も明確になるがこのような職場は少なく一般には部、課の全員がそれぞれ与えられた業務をすることで全体の成績が上がる。
基本給、諸手当等の人件費は企業にとって売り上げ等の実績に関係なくかかる固定費であり、原材料費のような変動費ではないので企業利益に直接影響するコストでありその額も大きい。企業にとってベース・アップをいかに企業の利益に反映させるかが課題となる。コストの削減と同業他社との競争力から非正規社員の採用、部門を切り離し別会社にしてグループ全体での合理化を図る。企業間や大企業と中・小企業間の格差も拡大する。
競争の拡大は結果として弱いものにしわ寄せをすることとなる。ベ・アによってフトコロに余裕ができ、需要が増え、生産、流通が活発になることで国全体が豊かになるはずであるが、一方でいろいろな格差も大きくなることが心配である。
(原田 康)
重要な記事
最新の記事
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(25)【防除学習帖】 第264回2024年9月7日
-
土壌診断の基礎知識(34)【今さら聞けない営農情報】第264回2024年9月7日
-
シンとんぼ(108)-みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(18)-2024年9月7日
-
(400)通過点で考えること【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年9月6日
-
JA貯金 残高108兆6185億円 農林中金2024年9月6日
-
適用拡大情報 殺虫剤「トルネードエースDF」 FMC2024年9月6日
-
米の需給 「締まる」見込み強まる 米取引関係者の判断 米穀機構2024年9月6日
-
JA沖縄 24年産米の買い取り価格引き上げ2024年9月6日
-
米 集荷現場や販売先と連携 円滑流通に努力 山野JA全中会長2024年9月6日
-
「やまが和栗」出荷開始 JA鹿本2024年9月6日
-
全国トップクラス「うずら卵」産地・豊橋市で「うずらを愛そう。うずLOVE運動」始動2024年9月6日
-
酒どころ新潟・長岡の酒蔵が集結「越後長岡酒の陣」21日に開催2024年9月6日
-
伊勢丹タータンデザインの日本酒「ICHI-GO-CAN」限定発売 Agnavi2024年9月6日
-
「日清ヘルシークリア」日本パッケージングコンテストで食品包装部門賞2024年9月6日
-
「スイカモザイクウイルス検出キット」開発 ウリ科野菜モザイク病の原因ウイルスを迅速診断2024年9月6日
-
鳥インフル ハンガリー2県からの生きた家きん、家きん肉等の一時輸入停止措置を解除 農水省2024年9月6日
-
第162回特別勉強会『普及拡大に向け、「今」求められる次世代環境制御』開催 植物工場研究会2024年9月6日
-
村上農園 世界小児がん啓発キャンペーンに協賛 11日に広島城をライトアップ2024年9月6日
-
全国の旬のぶどうを食べ比べ「国産ぶどうフェア」10日から開催 JA全農2024年9月6日
-
人手不足の課題解決へ 収穫ロボットをJA全農いわてへレンタル AGRIST2024年9月6日