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切り花の流通コストを増大させる乾式と湿式出荷容器の混在【花づくりの現場から 宇田明】第20回2023年10月19日

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切り花の出荷容器は、乾式横箱、湿式縦箱、バケットが混在しています(写真)。
そのことが、切り花の流通コストを増大させています。
物流の2024年問題は切り花の出荷容器を見なおすチャンスです。

乾式横箱・湿式(水入り)縦箱・バケット

切り花の出荷は1960年代まではこも巻きや、木箱でした。
その後、ほかの農産物とおなじようにダンボールに変わりました。
1990年代から、流通量の増大に対応するために、花市場の再編・大型化がはじまり、手本にしたのが、オランダのアールスメール花市場。
オランダシステムの要は、せりの迅速化、省力化のための機械ぜりと、鮮度保持のためのバケット(プラスチックバケツ)流通です。
バケットは生産者から市場、花屋まで切れ目なく切り花に給水するので、萎れを防ぎ、鮮度を保つのに効果があります。
しかし、バケットはリターナブルのため、回収、洗浄のシステムの構築が必要です。

そこで、わが国では乾式横箱とバケットとの折衷型として、縦箱ダンボールの底に、水入りのプラスチック容器を入れるワンウエイの湿式縦箱が考案されました。
横に倒しても水がこぼれない工夫がされています。

このようにして、切り花の出荷容器には、従来からの乾式横箱とオランダ式のバケット、および折衷型の湿式縦箱が混在することになりました。

現状は、品目の特性に応じて使いわけられています。
キクやカーネーションなど輸送中の乾燥に耐え、水あげがよい品目は乾式横箱。
バラ、トルコギキョウや草花類など乾燥に弱く、水あげに難がある品目はバケットか湿式縦箱が使われています。

ここにきて物流の2024年問題。
輸送費が値上がりするだけでなく、荷物の積み下ろし時間、荷待ち時間などの作業の効率化も求められています。

生産者・産地は流通コストを下げるために、さまざまな改善が必要です。
そのひとつが、コストを重視した乾式横箱を選ぶか、鮮度を重視したバケット、あるいは湿式縦箱を選ぶかです。

乾式横箱を選ぶなら、従来のままではコストの削減にはなりません。
パレット輸送は当然ですが、さらに共通のT11型パレット対応規格のダンボール容器に全国統一する絶好のチャンスです。
さらに、実需にあわせて切り花規格を短くし、ダンボール容器をも小さくすることで、生産コストとともに流通コストも削減することを考えるべきです。
なお、鮮度と日持ちについては、30年にわたる総合的な技術改善により、乾式横箱でも一部の品目をのぞいては問題がなくなっています。

バケットは、ケース当たりの入り本数が少なく、またトラックの積載効率が劣るうえに、手作業で運ぶ部分が多いので、乾式横箱より流通コストが高くなります。
さらに、大手市場に設置されている自動仕分け装置が使えないなどの弱点があります。

しかし、バケットの目的は鮮度だけではありません。
生産者がダンボールを組み立てる手間が省けるし、採花した花の水あげ作業が不要で、バケットにつけるだけですぐに出荷ができるので、作業性が優れています。

花屋には、水あげの手間が省けるし、バケットのまま店頭にならべることができるメリットがあります。
また台車をつかえば、トラックへの積み降し時間が大幅に短縮できます。
もっとも重要なことは、オランダでバケットが採用されたのは、ダンボールのように廃棄処分が不要なリターナブルで、エコな流通システムなためです。

流通の2024年問題は、切り花の出荷容器を見直すとともに、花産業の働き方を改革するチャンスです。

まず、現状の出荷容器がそれぞれの品目や経営にあっているか、過剰な投資になっていないかを考えてみましょう。
あわせて、輸送容器と鮮度・日持ちについて科学的な再検討が必要です。

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