あきたこまち新米集荷合戦ヒートアップ【熊野孝文・米マーケット情報】2025年8月19日
盆休にもかかわらず関東の早場県では新米の収穫時期が大幅に早まったことから急遽コメ集荷業者が参集して情報交換会が行われた。情報交換会では、全国を回って販売業者の新米ニーズを聞いてきたという業者が各地の温度差について情報を提供したほか、すでにスーパー等に並び始めた新米の価格情報や他産地の価格情報を共有、今後の集荷対策に活かそうと真剣に協議した。この地区では、地元JAが昨年より大幅に高い概算金を提示したことや商社系列の集荷業者の参入もあってあきたこまちの集荷価格が3万2000円にまで跳ね上がっており、このまま高値追いして良いものか否か、集まった集荷業者は戦々恐々としていた。

7年産水稲は各地で高温多照に推移したこともあって、全国的に刈取り時期が早まっており、関東でも例年より1週間から10日ほど早く、主力のあきたこまちやコシヒカリの刈取りが始まっている。8月初旬にあきたこまちの刈取りが始まった関東の早場地区の集荷業者によると、検査のため新米あきたこまちを持ち込んできた生産者の反収は、昨年9.3俵であったが、今年は8.8俵。品位は高温障害でシラタがやや目立つが、懸念されたカメムシ害も防除が徹底されたこともあって軽微にとどまり、1等に格付けしたという。収量や品位については安堵出来たが、危機感が募ったが「価格」で、地元のJAが早々に昨年より大幅に高い集荷価格を提示したこともあって、対抗上それに近い集荷価格を提示して集荷に臨むことになった。ところが量販店向け商材として人気の高い「あきたこまち」は引き合いが強く、最も早く新米あきたこまちが入手できる産地とあって買い手が殺到、庭先価格が急伸している。
コシヒカリと並ぶ広域銘柄あきたこまちは、スーパー等の量販店での定番商品となっていることもあって引き合いが強まることが予想されていたが、7年産米については備蓄米の放出でコメ全体の需給タイト感が薄れるとの期待から価格が落ち着くとの見方もあった。本家秋田あきたこまちもJA系統では、販売価格の目途を5kg3400円から3500円と見積もって、それに見合った集荷価格を想定していた。価格が値上がりしても集荷価格の上限は2万9000円で、卸への販売価格も3万1000円と見込んでいた。それでも大手スーパーや生協からの事前購入申し込みの数量は16万5000tにもなっている。商系荷業者への卸の購入打診価格も3万円で、量販店店頭価格を5kg3980円に設定している。この3980円はすでに出回り始めているあきたこまち以外の銘柄も当てはまっており、卸業者としては何としても5kg4000円以下の価格で販売したいという戦略が先行した。これはあきたこまちに限らず、北陸の早期米「ハナエチゼン」も同じで、地元の卸は地元紙に「3万2000円で買います」という広告を打って話題となった。この広告を打った販売業者は地元の新米を他県の業者に持っていかれないようにするための防衛措置だとしている。
コシヒカリ、あきたこまちと並ぶ家庭用精米の御三家「ななつぼし」はホクレンが7年産概算金2万9000円を提示した。北海道も収穫時期が早まり、最終清算価格に近い概算金を生産者に示すことによって集荷数量を確保するという動き。秋田あきたまちの上限価格と同じで、卸が3万1000円で購入出来れば5kg4000円以下で販売できる。いうなれば広域銘柄は5kg4000円以下で販売できることが集荷価格の算定基準になっているのだが、茨城のあきたこまちの例を見るとどうもそういうわけにはいきそうにない。こうした新米の集荷合戦が始まった要因は、昨年から始まった集荷の多様化というか、流通ルートの変化で、資本力のあるところや新規参入組が生産者の庭先まで入り込んで集荷に乗り出していることで結果的に庭先価格を押し上げている。
「年産」「産地」「銘柄」の精米表示3点セットの価値は、備蓄米放出でブレンド米の販売ウエイトが高まり、その価値は薄れると思われた。農水省の調査でも量販店でのブレンド米の販売比率は55%で銘柄米の45%を上回っている。5kg当たりの販売価格は、ブレンド米は2999円(税込み)まで値下がりして初めて3000円を割り込んだ。これに対して銘柄米の販売価格は4202円で高止まりしている。こうした調査データを見ると量販店でのコメ売り場は、相対的に価格が安いブレンド米が主流になり、3点セットの産地銘柄米は販売比率を落とすと予想された。しかし、「新米」「銘柄」に価値を見出す消費者のニーズは根強く、4000円以下でなくても売れるという判断が産地庭先価格の急騰の要因としか言いようがない。
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