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身を切る改革は根性焼きか【小松泰信・地方の眼力】2025年10月22日

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皮膚に、火のついたタバコなどを押し当てる行為やその傷跡を「根性焼き」と呼ぶ。元々は不良が自分の根性や覚悟を誇示するために行う自傷行為。「身を切る改革」「議員定数削減」で粋がる連中は不良かな。

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二匹目のドジョウ狙いか

 10月20日自民党と日本維新の会(以下、維新)が政策協議を取りまとめ、連立政権樹立に合意。21日召集の臨時国会で高市早苗自民党総裁が首相に選出された。
 政策合意文書には、維新が交渉の途中から突然「絶対条件」と主張した国会議員定数1割削減が盛り込まれた。両党間で大きな隔たりのある企業・団体献金問題からの「論点そらし」とする意見もある。決してうがった見方ではない。
 毎日新聞(10月21日付)は、「そもそも、『全国民を代表する』(憲法43条)国会議員の身分に関わる制度改正には、幅広い合意が欠かせない」と断じる。
 地域政党・大阪維新の会が「109あった府議会の定数を11年以降、他会派の反対を押し切って段階的に79まで減らした」という、いわゆる「身を切る改革」実践例を紹介し、最後に「ただ、削減の影響で定数1の選挙区が増えて中小政党に不利となり、府議選で維新が圧勝を続けている」と、オチを付けている。計算高い維新ゆえ、二匹目のドジョウ狙いかな。 

それは「地獄の一丁目一番地」

 同紙の記事でより目を引いたのは、「衆院議員の定数削減を巡る経緯」というタイトルで表示された定数の推移。
 1994年が定数500(小選挙区300、比例200)、99年が480(小選挙区300、比例180)、2013年が475(小選挙区295、比例180)、そして16年が465(小選挙区289、比例176)。
 衆議院のHPによれば、定数が最も多かったのは1986年の512。30年かけて定数の9.2%が削減されてきた。
 視角を変えれば、1991年のバブル崩壊を基点とする、いわゆる「失われた30年」という、いまだ出口の見えない日本社会の構造的な停滞期に寄り添うような議員定数の削減である。
 結論を先取りすれば、議員定数削減は、「失われた30年」から抜け出す契機とはならず、その流れに棹さす悪手の可能性大。
 少なくともこの30年間を特徴づける、実質所得の停滞、就職氷河期、格差の拡大、地方経済の衰退、加速化する少子化、等々の解決に寄与しなかったことだけは明らかである。
 この間のおよそ1割の定数削減がもたらした功罪、とりわけ罪に関する精緻な検証を行うことこそ喫緊の課題。
 それをすっ飛ばして、自らに解党的出直しを課さざるを得なかった万年与党と、トラブルメーカーを濫造し全国展開に行き詰まった衰退政党が、無い知恵絞って考え出した起死回生のための愚策が「1割の議員削減」。無知の恐ろしさか、これを「改革の一丁目一番地」と粋がっているが、それは「地獄の一丁目一番地」。

「大阪都構想」実現のための「副首都構想」か

 国会議員定数削減問題を「民主主義の根幹に関わる重要課題」と位置付け、幅広い層を交えての熟議も経ない拙速な動きから「政治の劣化」を読み取るのは福島民報(10月21日付)の論説。
 削減対象と推察される衆院比例代表を「多様な民意の受け皿」とし、昨年の衆院選で選挙区定数が1減となった経験から、「1割削減」の影響が地方に及び、「遠くの『声なき声』が今以上に中央に届きにくくなる改悪は、絶対に受け入れ難い」と訴える。
 福島民友新聞(10月21日付)の社説は、両党の合意政策に、副首都構想が含まれていることから、「維新は大阪に地盤を持ち、『大阪都構想』を主導してきた政党だ。副首都をどこにするのかの判断で、公平性は保たれるのか」と、当然の疑問を呈し、「党利を押し通すための連立と指弾されないよう責任ある行動が必要だ」と、親切に維新を諭している。

今問い直されるべきは「政治家の倫理」

 中国新聞(10月21日付)の社説は、「そもそも自民の派閥パーティー券裏金問題に象徴されるように、いま政治資金を巡って問い直されるのは行財政改革というより政治家の倫理であり、資質であり、カネによって政治が左右されてきた悪習の打破ではないのか」とし、「維新の政権入りの決断を見ると『連立ありき』で肝心なところを置き去りにした印象は拭えない」と急所を衝く。そして、「高市氏が裏金問題に関係した議員の起用を、新政権で広げることも想像に難くない」とし、「有権者の政治不信を軽く見ればどうなるか。その結果は自民、維新両党の次の選挙に映されるだろう」と迫っている。

議員定数増やすべし

 日本経済新聞(10月21日付)の社説は、衆院議員定数の1割削減に関して、「国際比較から見ると、日本の国会議員の数は多いとは言えない」と、サラッと記している。
 この点を深掘りしているのが、しんぶん赤旗(10月21日付)。参院調査室作成資料「経済のプリズム」NO207に示されたグラフ〝OECD加盟国の人口100万人当たりの議会の定数〟に基づき、「日本の国会議員定数は100万人当たり5.6人と、経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中36番目の水準です。(中略)今でも少ない日本の国会議員の定数を削減すればさらに国民の声が国会に届きにくくなってしまいます」と記し、定数削減に反対の姿勢を示している。
 この「経済のプリズム」で三角政勝氏(総務委員会調査室)は、「我が国の衆参両院の議員定数配分に関する『一票の較差』の問題については、これまでの累次にわたる司法判断を踏まえ、国会において対応が続けられてきた。(中略) 一方、議員定数そのものについては、必ずしも正面から議論されているわけではないようにも思われる」と記し、最後に、「一票の較差の是正とともに、国民全体で何人の代表を議会に送り出すのが適当であるのかという『議会の大きさ』について併せて考えてみる機会があってもよいかもしれない」と、極めて重要な論点を示している。
 すでに示されたように、国会議員は我々国民の代表者である。「身を切る」のがお好きな人たちは勘違いしている。国会議員は国民の代表者である。その代表者の削減は国民の切り捨てを意味している。
 明らかに、自傷行為に見せかけた悪質な他傷行為。
 「身を切る改革」の実態は、粋がったおっちょこちょいの不良政治屋どもによる「民意を、民主主義を、切り捨てる改悪」。
 国会議員はもとより、議員は増やしても、減らすなかれ。歳費は、民主主義を守り育てるための必要経費と心得よ。

 「地方の眼力」なめんなよ

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