配合飼料供給価格 1トン当たり1000円値下げ 23年1~3月期 JA全農2022年12月16日
JA全農は12月16日、2023年1~3月期の配合飼料供給価格を10~12月期より、全国全畜種総平均で1トン当たり1000円値下げすると発表した。
高止まり続く
JA全農の配合飼料供給価格は7~9月に1t当たり1万1400円と過去最高の引き上げ額となり、配合飼料供給安定機構によると工場渡価格は1t10万円を超えた。
全農は10~12月期の供給価格を据え置きとしたが、次期は飼料情勢や為替の動向をふまえて引き下げとした。
全農によると、トウモロコシのシカゴ定期は9月には1ブッシェル6.6ドル前後で推移していたが、米国産地で高温乾燥による作柄悪化懸念から10月には同6.9ドル前後で推移した。その後、米国産に輸出需要が低調となり、現在は同6.4ドル前後となっている。
今後は南米産の生育や、ウクライナ産の輸出状況が注目されるものの、米国産の在庫率は低水準であることから、JA全農は今後の相場は「堅調に推移すると見込まれる」としている。
また、肉牛用飼料に使用される大麦は、ロシアのウクライナ侵攻の影響などにより需給が引き締まっていることから値上がりが見込まれている。
大豆粕のシカゴ定期は9月には1トン470ドルだったが、11月後半には同450ドル前後まで下落した。バイオディーゼル向けの大豆油需要の高まりで副産物の大豆粕の生産量が増加するとの見込みや、米国農務省の11月需給見通しで大豆生産量が上方修正されたことが相場を下げる要因となった。
しかし、その後、乾燥天候による南米産の作柄悪化懸念から上昇し、現在は同520ドル台となっている。国内の大豆粕価格は、円高やシカゴ定期の下落で値下がりが見込まれるという。
米国ガルフ・日本間のパナマックス型海上運賃は、8月初旬には1t70ドル前後で推移していたが、原油相場の下落などで同55ドルまで下落した。現在は同50ドル台後半となっている。今後は北米産穀物に加え、南米産大豆の輸出が本格化することから海上運賃は底堅く推移すると見込まれている。
為替は10月には150円まで円安が進んだが、その後、11月10日発表された米国の消費者物価指数が市場予想を下回ったことや、米国FRBの利上げペースの減速予想などからドルが売られ、現在は136円台となっている。
このようにトウモロコシのシカゴ定期は上昇したものの、海上運賃の下落、円高の進行などでトウモロコシ価格と大豆粕価格は値下がりすることから、前期に比べ引き下げとした。
ただし、大麦価格などの値上がりにより、一部の畜種・銘柄は値上げとなる。
平均で値下げとなるものの過去最高の価格水準であることに変わりはなく配合飼料価格は高止まりの状態が続く。JAグループは、生産現場への影響を緩和する機動的な支援策を求めている。
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