25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
中央酪農会議は16日、2025年度上半期(4~9月)の用途別販売乳量を発表した。前年度同期比101.3%の増産だが、9月に入り北海道で伸び率鈍化が目立つ。用途別では飲用が同99.4%で微減。一方で、指定団体受託戸数はついに9500戸の大台を割り込んだ。(農政ジャーナリスト・伊本克宜)
酪農家1万戸割れでの経営の窮状を訴える生産者ら(2024年12月、東京・JR有楽町駅前で)
■全国生乳生産量346万トン
全国の25年度上半期の生乳生産は346万3855トン、うち北海道が203万1255トン、都府県が143万2601トン。前年同期比で全国101.3%の増産となった。
全国の約6割を占める北海道が同102.4%と、夏場の猛暑を乗り越えたことが大きい。昨年の粗飼料が比較的良質だったことに加え、暑熱対策の徹底や、乳価アップで生産意欲の向上も個体乳量増加につながったとみられる。都府県も上半期で50万トン超生産する関東が同100.4%と健闘した。
◇2025年上半期販売乳量
・北海道203万1255 102.4
・都府県143万2601 99.9
・全国 346万3855 101.3
(※単位 トン、前年度対比%)
■脱粉増加、発酵乳前年割れ
用途別販売乳量は、主力の飲用牛乳等向けが前年同期比99.4%の微減となった。
8月から飲用乳価キロ4円引き上げに伴い、小売価格が牛乳1本(約1000ミリリットル)当たり10円から20円程度上がった。消費減となったが、前年度期比で微減にとどまっている。9月でも同99.8%だ。
一方で生乳生産が増産となっていることから脱粉、バターの加工向けが増え同106.4%。特に脱粉の過剰は深刻となりつつある。ヨーグルト向け原料の発酵乳の販売も同98.6と前年割れ。飲用牛乳とヨーグルトの需要拡大が一段と問われている。
■受託戸数ついに9400台に
2024年10月に指定団体経由の酪農家の受託戸数が1万戸割れで大きな社会問題となった。
生産者乳価引き上げなどで酪農家の経営は改善しているが、依然として厳しい状況が続いている。酪農家戸数は後継者難も加わり、減少傾向は止まらず、8月段階でついに9500戸の大台を割り込み9477戸、うち北海道は4174戸まで減った。
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