「職場 より良く」 内部統制の構築急務【全国JAコンプラ実践セミナー】2024年12月16日
JA全中は11月28日、東京都内で令和6年度全国JAコンプライアンス実践トップセミナーを開いた。内部統制、コンプライアンス、不祥事やハラスメントの防止について報告と講演を受け、JAの信頼を守り職員のやりがいを生み出す役員のリーダーシップを学んだ。
内部統制の構築急務
【主催者あいさつ】JA全中 山野徹会長

能登半島地震をはじめ、今年も全国各地で災害が発生した。お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災されたみなさまに心よりお見舞い申し上げる。被災地では今なお、復旧復興に向けた懸命な努力が続けられている。支援にあたられた役職員のみなさまのご尽力に敬意を表するとともに、改めて、JAグループ組織をあげて被災地支援に取り組んでまいりたい。
10月18日には節目となる第30回のJA全国大会を開催し、「組合員・地域と共に食と農を支える協同の力」「協同活動と総合事業の好循環を」と掲げた決議をした。組織基盤、経営基盤の強化に向けての取り組みの土台となるのが堅牢な内部統制だ。
不祥事を未然に防ぐ、早期に発見するためには、コンプライアンス意識を組織全体に浸透させるとともに、異常な状況を迅速かつ的確に把握するための高度なガバナンス、内部統制を早急に構築する必要がある。
また、本年度下期より新たな取り組みである役職員エンゲージメント調査を実施している。職員が働きやすい職場風土・環境の構築と両輪でコンプライアンスの取り組みを行う必要がある。
そのためJAのリーダーであるみなさまが啓発、指導、教育の先頭に立って進めていただきたい。
人材と事業基盤両立
【情勢報告】JA経営をめぐる情勢等および内部統制の確立に向けた取り組みについて
JA全中 山田秀顕常務理事

全中では不祥事対応強化3カ年の取り組みを進めている。不祥事の動機をなくす、余地・機会をなくす、調査・対策等を徹底する――の3本柱だ。
再発防止策として全中は、モチベーション向上DVD「信頼へのメッセージ9」を作った。日常活動に即した内容なのでご活用いただきたい。
早期警戒制度に対応した取り組みは、収支シミュレーションを踏まえた経営計画等の策定・実践・見直しを通し①自己改革・経営基盤強化の着実な実践②ガバナンス・内部統制の確立・実効性強化――が重要だ。
そのために全中は、内部監査人協会の直近モデルにもとづき、JA版3線モデルのフレームワークを提起した。1線である現業については事業推進のみならず自らリスク管理の意識を持ってもらうことが重要である。また、とりわけ、2線部署であるリスク管理部門の強化が喫緊の課題だ。2線、3線には専門人材の配置育成が重要になる。
内部監査の強化のため、JAグループでは監査関係資格を設け、各種研修も実施している。積極的に受けるよう職員への指導をお願いしたい。令和4年に設置した全国JAヘルプラインには9月末現在、405件の通報が寄せられ、不祥事抑制の効果を果たしている。また、ハラスメントにかかる通報も多くなっているので、各JAで留意して取り組んでいただく必要がある。
第30回JA全国大会決議で注目してほしいのは、組織基盤強化戦略と経営基盤強化戦略である。協同活動や総合事業といったJAの強みを発揮し、組合員・利用者のニーズを起点に、活動と事業の好循環を作り出し事業伸長に取り組んでいく。人的資本経営は、経営戦略と人事戦略の連動が重要だ。JAグループの課題であるエンゲージメントの向上のため、全国調査を展開し、結果分析ツールの説明会も行う。現場で実践をお願いしたい。
職場が良くなった、離職が止められた、採用が強化できた、そういった人事戦略を構築した上で、組織基盤強化戦略と経営基盤強化戦略にしっかりと取り組んでいきたい。
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