人づくりビジョン全国運動展開へ トップセミナーでキックオフ2019年5月28日
JA全中は、5月15日の理事会で決めた第3次人づくりビジョン全国運動方針のキックオフとなる「JA人づくりセミナー」を23、24日の両日、横浜市で開いた。JA全中の中家徹氏、須藤正敏氏の会長・副会長が出席し、それぞれ講演、実践報告を行うなど、JAの将来を担う組合員、役職員養成についての決意を示すセミナーとなった。中家会長は、これからの人づくりは、特に協同組合運動者としての職員養成の必要性を強調。JA東京むさし、JAえちご上越、JAぎふがそれぞれ実践報告した。全国のJA常勤役員など約160人が出席した。
実践報告ごとに行ったグループ討議
第3次人づくりビジョン全国運動方針は、今日の農業・JAをめぐる環境の変化に対応し、JA自己改革を遂行するため、(1)JAトップ層の人づくりビジョン運動の実践強化、(2)JAの主役である組合員学習・教育文化活動の強化、(3)協同組合運動者としての職員教育の強化、(4)JA人事労務・活力ある職場づくりへの取り組み、などを重点課題として打ち出している。
セミナーでは、全国の運動方針の重点課題についてJCA(日本協同組合連携機構)の西井賢悟主任研究員が、滋賀県のJA東びわこが文化活動として開催している組合員の学びの場「さんさん講座」や、長野県のJA松本ハイランドの「夢あわせ大学」などの実践例を紹介。さんさん講座では延べ1600人余りが受講している。西井主任研究員は「組合員の『学び』のニーズに基づき、その参加者が自ら次にやりたいと考える『くらしの活動』をサポートする。その繰り返しの中で、自然と組合員のリーダーが育っている」と言う。
また、「夢あわせ大学」は、組合員・役職員の「学び」を体系化しているところに特徴があり、卒業後も、なんらかの組織に属してJAとの関係を保つ。こうした提携を支えるのは事務局機能を持つJAの役職員で、同研究員は職員が備えるべき役割として、「プランニング力」「ファシリテーション力」「農業・JA理解」「コミュニケーション力」の4つを挙げる。
実践報告したのはJA東京むさし、JAえちご上越、JAぎふの3JA。
JA東京むさしは平成20年から「組合員大学」を開催。正組合員とその家族が対象で、基礎講座と専門講座の2講座からなり、専門家による営農、農政、税金、健康、文化などカリキュラムの内容は幅広い。管内外の農業、横浜税関視察なども定番として組み入れられている。
「管内の農地は全体の8%、約60ha。JAはこれを守ることが役割。従って、私たちの組織は銀行などとは違うのだということを分かってもらわなければならない」と同JA会長理事の須藤正敏氏は強調した。
JAえちご上越は、特に「信頼され、親しみのある職員づくり」を目指し、職員の教育に力を入れている。新採用職員の農業実習のほか、農作物を栽培する「放課後アグリクラブ」サークル活動などを実施。
同JAの藤山作次・代表理事理事長は今後の課題として、(1)中堅管理職に偏った教育研修の見直し、(2)プレイイングマネジャーからマネジャー専念へ管理職の環境改善、(3)経営方針・ビジョンの職員への明確で具体的なメッセージ発信、(4)評価者・被評価者がともに納得できる人事評価制度の構築などを挙げる。
JAぎふは、農産物を栽培から販売まで行う活動を支店協同活動として展開。また農家への援農活動なども組み合わせている。「援農活動で生産者との距離が近くなり、渉外活動や窓口でも声を掛けていただき、会話が弾むようになった」と同JAの近藤隆楼・常務理事は言う。
また対話運動として行っている全組合員訪問について、同JAの岩佐哲司・代表理事専務は「座学ではだめ。農家の声を肌で感じることができたという職員の反応がある。自己成長を示している」組合員訪問の成果に期待する。
このほか、富士通(株)のシニアエバンジェリストの松本国一氏が「デジタル社会におけるワークスタイル」で話した。
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