女性農業者たちの熱い思いが生んだ「おいしいやさい部」 JAみな穂2020年3月2日
富山県JAみな穂の広報誌『JAみな穂』2020年2月号の「農魂一徹」が、女性農業者たちがみんなで“野菜栽培のプロフェッショナル”を目指す「おいしいやさい部」の活動を紹介している。
多種多様な「野菜栽培のプロフェッショナル」をみんなで目指す。
モットーは「みんなで楽しく!」
「おいしいやさい部」の部員は30代前半から50代の女性農業者15人。部員たちはSNSを使って密に連絡を取り合い情報を共有したり、定期的な勉強会で"おいしい野菜"を作る研究を行っている。
同部は、管内の農業者の高齢化が進む中で、「偉大な先輩農家の方々が将来的に農業から離れた場合」でも自分たちがおいしい野菜を作り、農産物直売所「みな穂あいさい広場」※利用客のニーズに応えたいという思いから、2016年に6人の部員が結成した。
女性農業者である部員の中には「将来的に自分が農業経営体の一線を退く時がきたとしても、その後も自分がやれることを今から準備している」のだと話す人もいると、JAみな穂の総務人事課で同誌を編集している桑守佑太さんは教えてくれた。
桑守さんは、「熱い思いを持って」活動する彼女たちに以前から注目しており、ぜひ『JAみな穂』誌で取り上げたいと、担当の営農指導員を通じて取材を申し込んでいて今回ようやく実現したのだという。
「おいしいやさい部」が栽培の研究をする野菜は、普段家庭で食べている一般的なものから、近隣の直売所であまり見かけないような珍しいものまである。これまで4年間の取り組みを見てみると、
▽2016年は、インゲンとエンドウの栽培、土作り講習会
▽2017年は、カリフラワーと落花生の栽培
▽2018年は、カラーニンジンとカリフラワー、落花生の栽培、タキイ種苗(京都府)視察
▽2019年は、ニンジンとセロリの栽培を行っている。
また、県内で開催される様々な"マルシェ"や「JAみな穂 あいさい広場」で開催された「なやマルシェ」にも出店している。
多種多様な「野菜栽培のプロフェッショナル」をみんなで目指し、栽培研究をやってきた「おいしいやさい部」だが、苦労もある。部員は一線で農業経営に携わっており「部員ごとにそれぞれ繁忙期が異なるので、研究テーマに設定した野菜を全員で育てることの難しさを感じている」という。
それでも、今後、まだ育てたことがない葉菜類などの研究や、研修会、視察などで最新の情報を収集し、「部員全員が同じ野菜をそれぞれの経営体系に合った栽培時期で育てることができるような方法を探っていきたい」という。
そして部員たちは、「活動を通して、県内外の女性農業者や各機関とのネットワーク」が広がったり、「毎年さまざまなイベントに出店し好評」を得たりと、「みんなとだからこそ実現できることへの可能性を実感している」という。
モットーは「みんなで楽しく!」だ。「女性農業者ならではの観点から野菜の新たな魅力を発信していきます」と熱い思いが彼女たちを動かす。
また、部員たちは「JAには野菜栽培のノウハウを教えていただくなど、日頃から活動をサポートしていただき、本当に感謝しています。特に、『みな穂 あいさい広場』には『少量多品目』の生産体系でも安心して野菜を出荷することができるので、私たちは新しい品目にどんどん挑戦することができます」とJAを頼りにしていると評価する。そしてこれからJAに期待することについては、「今後はアンケートや意見交換会などで消費者ニーズを把握できる機会を創出してくれることを期待しています」と述べている。
この誌面からは"組合員の熱い思い"を支える協同組合であるJAの存在価値や期待される役割のかたちが具体的に見えてくる。
広報誌『JAみな穂』2020年2月号は、同JAのWebサイトで読むことができる。
(※)「あいさい」は漢字で書くと「愛菜」で、JAみな穂管内の土壌で愛情を込めて育てた野菜を販売する場として、また地域住民に愛される集いの場となってほしいという思いが込められている。広い店内には、お米をはじめとする特産品、夏には入善ジャンボ西瓜、素材を生かした加工品も充実。生産者が直接持ち込んでいるので、新鮮・安心な商品が手頃な価格で購入できる。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日