JA全農 日清製粉Gと業務提携 国産小麦増産へ2020年11月18日
JA全農は11月17日、日清製粉グループ本社との業務提携契約と農林中央金庫を含めた三者の資本提携契約を発表した。JA全農は日清製粉Gと国産小麦などで重要な取引関係にあるが、今後は実需が求める国産小麦の増産とともに、幅広く国産農畜産物の提供につなげる。
全農は日清製粉Gと国産小麦での取引きのほかにも、惣菜を製造する同社子会社へ米を納入するなどの取引きがあった。今回の提携は国産小麦はもちろん、野菜や畜産物まで含めて国産品の需要拡大とその安定的供給、商品原料の安定的調達の実現をめざすものだ。
今年は人口の減少と食の多様化に加えて新型コロナウイルス感染拡大の影響で主食米需要は大きく減少した。2021年産で適正な需給とするには、主食用米の生産量を今年産より40万t近く減らさなければならない。その際、転作作物として有望なのは小麦だ。しかし、近年、増産は進んでいるものの、用途が特化された品種が少なくなく、業界からは汎用性のある小麦へのニーズも多い。特徴ある小麦は実需の求める生産量が確保できれば確実な結びつきで販売できるが、必要以上の生産量となれば価格低下を招く。一方、不作となれば供給責任が果たせないという問題も抱えている。
全農によれば今回の提携によって、日清製粉サイドが用途が広いと評価されている汎用性の高い品種を産地から供給するのが狙いだという。品種としては近年作付けの上位を占める「きたほなみ」、「シロガネコムギ」、「さとのそら」などだという。
あわせてこの業務提携による目的達成がより効果的に行われるように農林中央金庫との三者で資本提携契約を締結し、全農と農林中金が日清製粉Gに対して資本参加することで合意した。農林中金は日清製粉Gの発行済株式総数の1.82%を取得していたが、これに加えて約1%相当の普通株式を取得した(全農0.5%、農林中金0.5%)。
実需と連携し小麦増産
政府が3月に閣議決定した新たな基本計画では麦・大豆を増産する方向を打ち出し、小麦は76万t(2018年度)を2030年に108万tとする目標を打ち出した。農水省が「麦・大豆増産プロジェクト」で示している検討方向では、実需と生産の連携強化を掲げ、新品種開発への早期からの実需の参加、実需に応える品種開発と品種転換の促進を重視する。
当面は供給過剰となっている大麦、はだか麦を国産に切り替えることが実需には求められるが、産地には小麦への転換も必要となる。そのために需要確保と拡大が必要で、今回の提携は全農が実需と連携して食料の安定生産を実現する取り組みでもある。また、求められる品種開発を同社や国の試験研究機関と連携し、全農が産地づくりと合わせて取り組むこともできる。単なる米の過剰対策ではなく、将来を見据えて水田農業をどうするかが問われているが、今回の提携も関係業界との協業で展望を拓いていく取り組みとして期待される。
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