JA香川県「マッシュラベンダー」が最優秀賞 フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2020年11月26日
花き卸売市場国内最大手の(株)大田花きは、2020年に流通した約20万点の花きの中から品質や流通、人気トレンドなどの観点で次の4つの品種と生産者を「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2020」として選出。最優秀賞に、JA香川県三豊花卉部会のアスター「マッシュラベンダー」が選ばれた。コロナ禍にある今年は、おうち需要の増加で、“ブルーイッシュピンク”と“ドライテイスト”が人気の要因となっている。
「フラワー・オブ・ザ・イヤーOTA2020」は、年間の取引データに基づく統計分析とバイヤーによる投票による選出で、マーケティングトレンドを的確に捉えた品種が入賞する。品質だけでなく、買いやすさや人気トレンドなど流通の視点も反映した総合的な評価により、結果を生産者と共有することで、今後の作付けに生かしてもらうことを目的としている。
2020年は新型コロナウイルスの影響で花きの需要は全体的に落ち込んだが、家庭需要は伸びた。自宅で過ごす時間が増える中、1輪、あるいは1本で部屋の空気感を変える存在感のある花が注目された。
色はピンク系が人気で、とりわけ少し青みがかったブルーイッシュ、グレーイッシュな色目がトレンド。ドライフラワーも引き続き人気があり、新鮮な花でもドライな質感やシャビーテイストのトレンドが続いている。
最優秀賞のアスター「マッシュラベンダー」
最優秀賞の、JA香川県三豊花卉部会のアスター「マッシュラベンダー」は、花きトレンドが全体的に小輪化の中、唯一大輪化で成功したレアな品目。直径7センチ前後にもなる超大輪アスターだ。これまでのアスターのイメージを覆す品種で、1本で存在感があり、美しさが引き立つ上、長持ち。グレーイッシュな発色がトレンドを捉えた独特の雰囲気を醸し出している。花き生産は減少傾向にあるが、アスターの生産は近年増加。香川県は穏やかな気候と暖地の強みを生かし、冬場の花き生産を担う重要な生産地として市場からも期待されている。今回香川県の生産者の最優秀賞は初めて。
優秀賞のバラ「ヴァーズ」
優秀賞は、JA遠州夢咲のやぎバラ育種農園(静岡県菊川市)が生産するバラ「ヴァーズ」で、同農園の八木勇人氏が作出したオリジナル品種。花弁は枯れ感と青み、クラシカルな雰囲気を伴ったシャビーシックな印象で一度見たら忘れない鮮烈なインパクトを与える個性派品種だ。八木氏は、以前オランダに研修にでかけたときに未来のバラトレンドについて手がかりを得て帰国。自分の農場でヴァーズの誕生を見たときに人気が出ると思ったが、師匠の父は「こんなのだめじゃないか」と反対。それでも、1輪で花瓶に挿したときに映える花を開発しようと育種を続け、ヒット商品となった。静岡県は花き生産地として全国でも名高く、切り花のバラの生産は全国第2位を誇る。
新商品奨励賞のスターチス「シンジーシルバー」(左)、「グレビリアゴールド」
また、新商品奨励賞はJA紀州のスターチス「シンジーシルバー」と(株)ワイエムエス(大阪府池田市)の「グレビリアゴールド」。
JA紀州のスターチス「シンジーシルバー」は、カサカサとしたドライな質感で、青みがかったピンクの小花がたくさん付いた上品でかわいらしい品種。色が付いた部分がガクにあたるため長持ちし、ドライフラワーとしてスワッグなどにもよく利用される。トレンドのブルーイッシュピンク(青みがかったピンク)というポイントも押さえている。
和歌山県のスターチスの年間生産は全国2位だが、暖地の特性を生かし冬場は1位の生産地として国内の供給を支えている。国内でスターチス生産量はキク、カーネーション、バラに次ぎ4位。誰もが知る大品目と肩を並べるほど生産量が多く、マーケットでも必要とされている品目で、昨今はブーケなどに使われるおしゃれな品種もたくさん開発されている。和歌山県の生産者の受賞は今回が初めて。
また、ワイエムエスの「グレビリアゴールド」は、葉の表はフレッシュグリーン、裏はベルベットな質感のコッパーゴールドの対照的な二つの表情を1枚の葉に併せ持つイスラエル産の植物。生花だけでなくドライフラワーのブーケやスワッグ、リースなど多用途で活躍する品種で、1つ入れるだけでデザイン性がアップすると人気がある。グレビリアゴールドだけを束ねてインテリアとして装飾するアイテムとしても注目された。
同社は、世界20か国・地域以上から花きを輸入する国内有数の花き専門の輸入商社。マーケットの動きを的確に捉え、この商品の増産を早い時期からイスラエルの生産者に打診していた。クリスマスシーズンを迎え、さらに注目度が高まると予想される。
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