韓国の「社会的経済」学ぶ アイデンティティー徹底を ICAソウル大会2022年1月25日
JAや生協など協同組合組織のOBらでつくる協同組合懇話会は1月20日、昨年12月1~3日、韓国のソウルで開かれたICA(国際協同組合同盟)報告会を行った。韓国の尚志大学社会的経済学科の金享美准教授が、韓国における「社会的経済」について説明、日本協同組合連携機構(JCA)の栗本昭特別研究員が、ICAアイデンティティー声明と日本の協同組合運動について話した。(写真はJCA提供)
食料安保の分科会で登壇した中家徹JA全中会長(オンラインで)
金准教授は、「なぜソウルなのか」のテーマで報告。韓国は2012年の協同組合基本法の施行以来、 協同組合と社会的経済の進展 、積極的に国際社会へ発信してきたことを挙げる。社会的経済とは、信頼と協同を基礎にして効率性と平衡性そして持続可能性を同時に達成しようとする考えで、この趣旨は基本法に生かされ、協同組合などを「社会的経済セクター」として位置付けている。
この思いが、市民運動・社会活動家グループ、与党の政治家、官僚との緩やかな人的ネットワークがあり、同准教授は、これがソウルでのICA大会開催につながったという。これには1980年代に始まった生産者と消費者の共生による「ハンサルリム」の草の根的な運動があった。
また、大会のテーマとなった協同組合のアイデンティティーは、「社会的経済の核心であり、 ICA大会を通じてそれを実感し、思いをシェアして活動に生かす 学習の場にしたい」と、期待を述べた。
アイデンティティーについて、JCAでは協同組合のアイデンティティーの見直しが検討されている。1995年のICAマンチェスター大会でのアイデンティティー声明以来、リーマンショックやグローバル化の減速、世界政治の不安定化、地球温暖化、コロナパンデミックと新しい環境変化に遭遇している。栗本特別研究員は、特に環境問題等を挙げ「見直しの時期」だと指摘。ICAでも検討されており、2025年のICA総会で提案される見通しを明らかにした。
なお、ソウル大会の内容を報告したJCA協同組合連携2部の前田健喜部長は、「JCAとしてもこの機会に、協同組合のアイデンティティーを改めて学ぶ取り組みを、国際協同組合デーなど既存の枠組みも活用しながら、展開していきたい」と話した。
ソウルの現地会場を埋めた韓国内外の参加者
重要な記事
最新の記事
-
農畜産物を「交渉カード」にするな トランプ関税でJA茨城県中央会 森山自民幹事長に緊急要望2025年5月10日
-
米など「重要5品目」守り抜く トランプ関税交渉で森山自民幹事長 茨城で表明2025年5月10日
-
シンとんぼ(141)-改正食料・農業・農村基本法(27)-2025年5月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(58)【防除学習帖】第297回2025年5月10日
-
農薬の正しい使い方(31)【今さら聞けない営農情報】第297回2025年5月10日
-
JA貯金残高 107兆2744億円 3月末 農林中金2025年5月9日
-
米、再生産可能な施策で後押し 石破茂総理2025年5月9日
-
【JA人事】JAぴっぷ町(北海道)大西組合長を再任(3月28日)2025年5月9日
-
備蓄米 全農出荷済み6万3266t 落札量の3割 出荷依頼には100%対応2025年5月9日
-
イネカメムシ被害を防げ 埼玉県と加須市、「防除」を支援 JAの要請実る2025年5月9日
-
備蓄米の円滑な流通 さらなる方策検討 買戻し条件見直しも 江藤農相2025年5月9日
-
米価 「高くなる」判断がやや増加 米穀機構2025年5月9日
-
(434)世界の配合飼料業界のダイナミズム【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年5月9日
-
全農杯全日本卓球選手権大会(ホープス・カブ・バンビの部)岐阜県予選会を県産品で応援 JA全農岐阜2025年5月9日
-
職員対象に「農業体験研修」を実施 JA全農あきた2025年5月9日
-
米を買うときに重視「国産米」77.8% お米についての緊急アンケート 日本生協連2025年5月9日
-
外食市場調査3月度 市場規模は3162億円 3か月ぶりに前年比でもマイナス2025年5月9日
-
BASFグループの第1四半期業績 特別項目控除前EBITDAはほぼ前年同期水準を確保2025年5月9日
-
鳥インフル 米サウスダコタ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年5月9日
-
生活協同組合ひろしまと連携協定「無印良品」商品を供給開始 良品計画2025年5月9日