地域の価値創造と未来への投資めぐり意見交換 新潟でJA経営ビジョンセミナー(1)2023年3月31日
JA全中は3月14、15の両日、新潟市で「JA経営ビジョンセミナー」を開いた。新潟県で教育を中心に地域に根差した事業を幅広く展開するNSG(ニュー・サステナブル・グロース=新しい持続可能な成長を)グループの事業を視察した。現地・現物・現実の場によるJAの経営者同士の相互啓発を目的に昨年8月から開催しているセミナーで、JAの組合長ら常勤役員が参加し、JAの経営ビジョンづくりについて意見交換した。今年度最終回となるセミナーでは、これまでの研修の成果を踏まえ、改めて地域に密着した事業の展開と人づくり、経営ビジョンを持ったトップのリーダーシップの重要性など、経営者としてのマインドについて認識を共有した。
植物工場での高機能性トマト栽培施設を見学
地域密着型で人づくり 110の法人
NSGグループは、新潟市内の神社の長男だった現会長の池田弘氏が、境内に校舎を建て、1976年教育事業をスタートさせたのが始まり。かつて新潟県は多くの人材を東京へ送り続け、人口が減っていることに池田会長は心を痛めていた。そこで神社は祭祀を営むだけでなく、人々の幸せや地域の発展に寄与する役目があると考え、その使命をはたそうと実業家の道を選んだ。
教育関連事業から始め、医療、福祉・介護、健康・スポーツ、建設・不動産、食・農業、ビジネスソリューション、環境・エネルギー、ICT(情報通信技術)、生活サービス、エンタテイメントにまで事業を拡大した。同グループの社是は「新潟を世界一幸せなまちにすること」にあり、「ひと」(教育)、「あんしん」(医療・介護・福祉・保育)、「しごと」(事業創造)、「魅力」(スポーツ・文化)の四つのキーワードを挙げる。
現在、同グループは農業生産を行う会社や食料農業大学などを含め、110の法人を有し、従業員は1万2000人を超す。教育事業では、グループ全体で34の専門学校、264の学科を備え、これまで11万人以上を、県内だけでなく全国に送り出している。
事業の底流に流れる郷土愛
池田会長はセミナーで、人を育てる教育、地域の発展に貢献する事業創造の必要性を強調した。明治時代は、地域の名士である〝旦那衆〟が若者に資金を出して産業を興した。新潟県の主要産業の一つになっている米菓を例に挙げる。「これは当時の大きなイノベーションだった。DX(デジタル変革)やICTの今日、若い人の新しい事業を支援できる仕組みづくりが必要」と指摘。この考えから、同グループ企業には20代の社長もいる。
池田会長の事業の底流に流れる経営者マインドは〝郷土愛〟であり、(株)アルビレックス新潟の初代代表取締役に就任し、地域密着型のビジネスモデルをサッカーチームに取り入れたのもそのあらわれだ。
セミナーでは、同グループの教育事業の根幹になっている開志専門職大学と新潟医療福祉大学を訪問。開志専門職大学は、文字通り志を開くことをモットーに2020年開学した日本で最初の総合専門職大学で、事業創造学部、情報学部、それにアニメ・マンガ学部がある。また、食と農業では㈱ベジ・アビオの植物工場での高機能性トマト栽培施設などを見学した。
重要な記事
最新の記事
-
米粉で地域振興 「ご当地米粉めん倶楽部」来年2月設立2025年12月15日 -
25年産米の収穫量746万8000t 前年より67万6000t増 農水省2025年12月15日 -
【年末年始の生乳廃棄回避】20日から農水省緊急支援 Jミルク業界挙げ臨戦態勢2025年12月15日 -
高温時代の米つくり 『現代農業』が32年ぶりに巻頭イネつくり特集 基本から再生二期作、多年草化まで2025年12月15日 -
「食品関連企業の海外展開に関するセミナー」開催 近畿地方発の取組を紹介 農水省2025年12月15日 -
食品関連企業の海外展開に関するセミナー 1月に名古屋市で開催 農水省2025年12月15日 -
【サステナ防除のすすめ】スマート農業の活用法(中)ドローン"功罪"見極め2025年12月15日 -
「虹コン」がクリスマスライブ配信 電話出演や年賀状など特典盛りだくさん JAタウン2025年12月15日 -
「ぬまづ茶 年末年始セール」JAふじ伊豆」で開催中 JAタウン2025年12月15日 -
「JA全農チビリンピック2025」横浜市で開催 アンガールズも登場2025年12月15日 -
【地域を診る】地域の農業・農村は誰が担っているのか 25年農林業センサスの読み方 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年12月15日 -
山梨県の民俗芸能「一之瀬高橋の春駒」東京で1回限りの特別公演 農協観光2025年12月15日 -
迫り来るインド起点の世界食糧危機【森島 賢・正義派の農政論】2025年12月15日 -
「NARO生育・収量予測ツール」イチゴ対応品種を10品種に拡大 農研機構2025年12月15日 -
プロ農家向け一輪管理機「KSX3シリーズ」を新発売 操作性と安全性を向上した新モデル3機種を展開 井関農機2025年12月15日 -
飛翔昆虫、歩行昆虫の異物混入リスクを包括管理 新ブランド「AiPics」始動 日本農薬2025年12月15日 -
中型コンバインに直進アシスト仕様の新型機 井関農機2025年12月15日 -
大型コンバイン「HJシリーズ」の新型機 軽労化と使いやすさ、生産性を向上 井関農機2025年12月15日 -
女性活躍推進企業として「えるぼし認定 2段階目/2つ星」を取得 マルトモ2025年12月15日 -
農家がAIを「右腕」にするワークショップ 愛知県西尾市で開催 SHIFT AI2025年12月15日


































