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米国追従でない主張鮮明に 地域経済統合体が重要 齋木昭隆・元外務事務次官 オンラインJA経営者セミナー2023年5月11日

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JA全中はJA経営者・幹部職員を念頭に、環境変化を見通し、これからのJA経営を考える機会として、今年の4月から「オンラインJA経営者セミナー」 をスタートさせた。政治・経済・社会をめぐる変化の底流に何があるかを考えるため、各界の専門家による講演と、地域と共に発展する企業の実践報告の二つを柱とするもので、参加者それぞれがこれからのJA経営を考える機会とする。オンラインセミナーは年間6回計画。第1回は、元外務事務次官の齋木昭隆氏を講師に4月13日「国際情勢の変化と新たな世界秩序」のテーマで開いた。講演の要旨をまとめた。

元外務事務次官 齋木昭隆氏元外務事務次官 齋木昭隆氏

同志社大学と電通総研が世界の主な国を対象に、1980年から5年ごとに実施している価値観調査がある。政治・経済・家族など幅広い質問の調査だが、最新の2020年の結果をみると、「戦争になったとき、あなたは国のために戦いますか」との質問に「イエス」と答えたのは日本が13・2%だった。これに対してウクライナ(戦争前)は56・9%、台湾76・9%、米国59・6%と高い。日本の次に低いのはエストニアだが、それでも26%で日本はダントツに低い。

日本は「ノー」が48・5%で、「わからない」(38・1%)も多い。安倍晋三元首相は、台湾有事は日本有事だといったが、そう考えない日本人が多いということだろう。

長引くウクライナ戦争

さて、ウクライナ戦争はいつまで続くか、どうやって終わるのか知りたいところだが、これが分からない。一つは、どちらかが圧勝することだが、これはないだろう。そもそも簡単に勝てると思ったプーチン政権の判断が甘かった。

一方でウクライナはNATO諸国の武器供与で互角に戦っているが、いずれも決定打がない。ロシアによるベラルーシへ戦術核配備などの脅しが効いたか、バイデン政権はロシア軍を追い返すだけの武器は供給するが、全面戦争は避けたいというのが本音だ。ロシアにとって5月9日は対ドイツ戦勝記念日だ。ネオナチを追い出したという実績をつくるため、東部戦線の攻防が激しくなっている。

ただプーチン政権は安泰かというと疑問だ。戦争が始まって400日余り。ウクライナは約700両の戦車を喪失したが、ロシアは2300両。ロシア軍の戦車には「V」のサインがあるが、もともとロシアとウクライナの戦車は同じものなので同士討ちしないためだ。ロシアの大型輸送機のアントノフ、これはウクライナの地名である。つまり、ウクライナはソ連時代から武器と食料の供給地だったのだ。

これまでロシア軍の死傷者は20万人以上。ロシア軍には正規軍と、囚人をかき集めた傭兵部隊があるが、正規軍との関係がぎくしゃくしており士気は低い。ロシアには兵士の「母の会」があり、「プーチンに騙された」という声が強まっている。厭戦ムードが高まっているが、それが反プーチンにつながっていないようだ。ただ、プーチン政権には80%以上の支持があるというが、個別訪問の調査なので、戦争反対と回答すると秘密警察に漏れる恐れがある。それを前提とした数字だとみるべきだ。

欧米の武器援助を受けているウクライナがいつ反転攻勢に転じるかだが、米軍の機密文書漏洩事件で遅れるかもしれない。一方で西欧の亀裂も生じている。東欧は積極的だが、フランス、英国、スペイン、オランダは消極的だ。米国はロシアによる核の脅し、それに議会からブレーキがかかっている。

和平仲介国が不在

各国とも重要な選挙を控え、先行き不透明感を増している。米国は来年11月の大統領選挙、1月は台湾の総統選。ロシアも来年3月に大統領選がある。戦争が続いているとしても、延期すると政権基盤が危うくなるので実施するだろう。米国は今年9月のレイバーデーから政治の季節に入る。いずれもウクライナ問題で動きにくい状況にある。

戦争は始めるのは簡単だが、終わるのが難しい。仲介の可能性はどうか。黒海を隔てて両国に接するトルコは先の大地震で混乱が続いており、今年5月には大統領選を控えている。中国は、ロシア寄りでロシア軍の撤退を求めておらず、仲介役は難しい。独裁体制を固めた習近平だが、コロナ禍による経済成長率の低下や、人口の減少などで、盤石な政権といえるかどうか。

むしろ任期中に台湾統合を達成し、毛沢東を超える指導者になろうとしている。しかし台湾の武力奪取はハードルが高いだろう。1979年の中越戦争以来実戦の経験がなく、上陸には多数の揚陸艦を用意しなければない。人的損害も大きい。また台湾の半導体などの産業基盤を喪失することにもなり、中国にとってコストが大きい。台湾人は1国2制度で併合された香港の失敗をみている。中国は孫子の兵法「戦わずして勝つ」で平和的に統一するのが一番よい。日本にとってもベストだ。

味方にすべきインド

中国の人口を超えたインドは非同盟路線から全方位外交へ切り替えており、日本にとって味方にすべき国だ。

ポスト冷戦は米国の一人勝ちだった。本当に冷戦は終わったのかどうか。群雄割拠で新たな覇権争いが始まっている。日本はどうするか。軍事は米国、政治システムは自由・民主主義で人権意識も高い。日本は戦後、自由、民主主義を主張し、マーケットエコノミーを通してきた。そのスタンスが5月19日からのG7広島サミットで、世界にどう受け止められるか。

一方、発展途上国の多くは独裁体制だ。そうした群雄割拠の中で、他の国との一致点は「法の支配」「領土不可侵」「国家の主権尊重」であり、このルールを守ることだ。米国に追従するのではなく主張すると日本の立ち位置がよくなるのではないか。

【ディスカッションから】

地域の経済連携を

――そうした状況の中で、日本のエネルギー・食料の安全保障についてどう考えるか。

安全保障とは政治的安定の中で、経済的な安全を享受するために必要なことをやることだ。食料自給率が低いがそれで大丈夫か。備蓄が尽きたらどうするのか。食料の出し惜しみする国が増えるだろう。できることは自分でやらないと。みんな、そのことはイメージ的にはもっているが、国会でも、そこに達するための合理的な議論がない。

――食料ナショナリズムが高まっているが、一方で自由貿易を基本とするWTOでは輸出規制をやめることになっているが、国際機関はどう対応すべきか。

外務省時代にWTOでサービス部門の交渉にあたった。ドーハラウンドで行き詰まっているが、これでお仕舞いではない。日本としてアジア諸国との経済連携協定がある。ASEAN(東南アジア諸国連合)や、中国も加盟しているRCEP(地域的な包括的経済連結協定)のように10カ国くらいならやっていける。TPPもそうで、小さな塊、つまり地域経済統合体をつくることが重要だ。
自由貿易といいながら、アメリカもEUも輸出補助金を出している。重要なのはルールをだれがつくるのかであり、できあがったルールに新たに入るには敷居が高い。だったら新しいルールをつくればよい。最初からその中にいることが大事だ。

――日本の役割は。

日本は大国か中進国かと問われるが、国にとって重要なのは軍事力と経済力で、経済力はある。総合的な大国とは、世界の世論を形成する能力があるのか、日本の主張に耳を傾けてくれるかが重要だ。それには日本的な価値、文化、伝統、犯罪の少ない安全で安定した社会、これを臆せずに世界に発信したい。
私は毎年、農業のカレンダーを使っている。日本の農業や田園風景の美しさは世界でも例を見ない。先祖から引き継いだ農地、美しい国土、それを次の世代につなげる役割が、農業や農協にある。

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