組合員と語り結集 真の農協をめざす 第44回農協人文化賞 特別講演2023年12月6日
「農協運動の仲間達が贈る第44回農協人文化賞」は11月30日に表彰式に続き受賞者の特別講演会を行った。概要を紹介する。
JA鹿追町・木幡浩喜組合長(左)、JAはだの・宮永均組合長
緻密なクミカン制度
JA鹿追町の木幡浩喜組合長が町内の営農活動とそれを支えるJAの事業を報告した。
鹿追町は人口5085人。農家は202戸、1200人。そのうち法人が40。農地は1万1000haで今年度の農業生産額は252億円の見込みだという。
畑作は小麦、てん菜、豆類、馬鈴薯の4品目の輪作でそれに加工キャベツに取り組む。1戸平均50haでJAは労働力支援に取り組んでいる。
具体的には加工野菜の収穫をJAが受託しているが、AIを使った無人化の実証試験も実施中だ。
種馬鈴薯の選別ではAIを導入し、昨年から全量を取り扱い労働力対策で実績を上げつつある。
酪農では土づくり、草づくり、牛づくりの基本を大切にしているが、規模拡大を進めるための労働力支援に取り組み、日本で初めてのコントラクター事業の導入やTМRセンターの活用を進める。
これらによって搾乳量の増加など実績をあげている。また、肉牛は鹿追町内で生産される乳雄子牛と交雑種を町内で一貫肥育している。
大規模経営を支えるのが北海道の多くのJAで活用されているクミカン(組合員勘定)制度。将来の収入となる販売代金を組合員に前貸しし、生産資材や生活物資を購入する仕組みだが、同JAでは営農コンサルティングを行うため品目の勘定科目を細分化、「肥料や農薬を購入したとき、それがどの作物でどれだけ使われたか」という結果まで細かく組合員にフィードバックされる仕組みを作り上げた。
「翌年の営農計画を立てるとき、経営分析結果があることで、他の農家と比べた自分の位置も分かり、それらも踏まえ、組合員自ら経営判断をしJA職員ともしっかりコミュニケーションができている」と話した。
新規就農を増やす
JAはだのの宮永均組合長は「トカイナカ」と称する神奈川県秦野市での同JAの活動を報告した。
宮永氏は戦争や気候危機が起きるなか、食料安全保障は「最大の課題」となっているとして、JAのファーマーズマーケットは多様な農業者と消費者が支える場として「不測時への対応としても大切になるのではないか」と話した。
同JAの直売所「じばさんず」は出荷者650人、年間利用者50万人、販売額は約10億円で不足する品目では多くのJAと産地間連携を行っている。
都市化が進むなか担い手の発掘にも力を入れ、行政と一体となった「はだの都市農業支援センター」を設置し、新規就農者を育成するために「はだの市民農業塾」を立ち上げた。新規就農コースでは2006年から22年までに100人が研修し、85人が就農。このうち66人が非農家出身だという。なかには2haの規模で野菜づくりを行い1000万以上を売り上げている新規就農者もいるという。
「農地の所有権と利用権を分け、使える人に農地を使ってもらい、それをJAが支援する。今日的な役割をJAが発揮していると考えている」と宮永氏は話す。
JAにとって「教育」が大事で全戸訪問や対話活動に力を入れてきた。「地域のなかで協同を学び、今こそ助け合いを実践するとき」として、自らの心がけを「動かなければ出会えない。語らなければ広がらない。聞かなければ深まらない」と語った。
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