【新世紀JA研究会セミナー】JAと生協が連携 暮らしを豊かに2026年2月25日
新世紀JA研究会は2月20日、東京都内で第57回の課題別セミナーを開いた。JAと生協の連携をテーマに、JAぎふとコープぎふの取り組みについて意見交換し、食と地域という共通のキーワードで双方のファン拡大の重要性を確認した。JAぎふ相談部の笠原茂部長、コープぎふ事業改革推進部の渡辺憲市部長、それにJCA(日本協同組合連携機構)協同組合連携2部の小島愛美連携推進マネージャーが報告。概要を報告する。
2月20日に開かれた新世紀JA研究会のセミナーであいさつする田中均共同代表(JA松本ハイランド組合長)
【報告①】JAぎふ相談部・笠原茂
有機「ぎふラル」供給
JAぎふは「活力ある農業」と「豊かな地域社会」の実現に向け、5年前に掲げた「10年後にめざす姿」を道標として、役職員の行動指針を磨いてきた。『私たちは組合員の期待に応えるために、支店が中心となり、総合的なサービスをもって、組合員の財産活用と暮らしのお手伝いをします』というフレームワークを念頭に置き、支店・ふれあいプラザを起点に協同活動や地域貢献活動を進め、交流・会話・対話へとつなげている。
対話から生まれる将来への願い、不安、悩みに対して、JAの事業や活動を提案し、利用と参画を促すことで、「私たちのJA」と言っていただける〝JAファン層〟の創出に努め、組合員と役職員がともに住みよい地域社会とコミュニティの形成をめざしている。
農業振興では、地域住民の暮らしを持続的に支えるため、従来の部会中心の市場出荷に加えて地消地産(地域の消費者が求める農産物を地域で生産すること)を推進し、「有機の里」の開設、JAぎふ独自栽培基準「ぎふラル」による販売を展開している。毎年6月を「食と農を考える月」と定め、団体・農業者と連携した祭典等を開催し、農の重要性と食の大切さを広く発信している。
2024年2月にJAぎふは、生活協同組合コープぎふと豊かで暮らしやすい地域社会づくりに向けた包括連携協定を締結した。地産地消を一層進めたいJAぎふと、安全・安心な商品を揃えたいコープぎふが連携することで、農家と消費者をつなぐ架け橋を築き、県内の消費者が地場産農産物を選び、食する「食の循環」の加速をめざしている。
また、新規採用職員の合同研修、双方の組合員参加による支店・ふれあいプラザでの交流イベントやセミナー等を通じて、共同の協同活動(一緒に心と力を合わせ活動する)が日常として根づき、互いの協同組合への理解と新たなコミュニティが育っている。
少子高齢化に伴う組合員数の減少は〝JAファン層〟の自然減を招きかねない。しかし、拠点を生かした協同組合間協同の実践によって役割の異なる組織が機能を持ち寄り、強みを掛け合わせることで「地域の中での協同組合の存在意義と提供価値」を高め、双方の組合員と〝JA(コープ)ファン〟の維持・拡大は十分に可能であると確信している。
私たちは、対話と実践を重ね、「活力ある農業」と「豊かな地域社会」の実現に向け着実に取り組む。(JAぎふ相談部・笠原茂)
【報告②】コープぎふ事業改革推進部・渡辺憲市
農業と消費、より近く
コープぎふは「笑顔あふれる協同のくらし」を理念に、岐阜県全域で宅配・店舗事業を展開し、約26万世帯にサービスを提供している。少子高齢化や地域コミュニティの希薄化、買い物困難者増加といった地域課題に対し、JAぎふとは「地域のくらしを良くする」という共通目的のもと連携を深めてきた。
連携が進んだ要因は、①トップ同士の継続的な意見交換と方向性共有、②双方で窓口担当を明確にし、日常的に課題共有を行ったことである。特に2024年2月の包括連携協定以降、トップのメッセージ発信が組織全体の後押しとなった。
宅配事業では、かつて主流だった〝グループ利用〟が生活の変化で減少した背景を踏まえ、JAぎふの支店・ぷらざを拠点に地域コミュニティ再生に挑戦。地域の利便性向上と、2025年国際協同組合年に向けた協同組合間連携の発信を目的にグループ結成を進め、現在、4拠点で40人が利用。来店者増による新規顧客創造、地域貢献、連携認知向上などの成果が出ている。
また組合員活動の停滞という共通課題に対し、ぷらざを活用した多世代交流企画を共同開催。食育講座や農産物を使った体験、いちご生産者との交流会などを通じ、食と農をつなぐ学びや地域理解が深まった。参加者アンケートから企画を組み立てることで、継続的な参加を生む工夫も進めている。さらに、参加者が生産者の思いを紙面で伝えるなど、活動が地域全体へ広がる好循環も生まれている。
本部移転を機に、JAの各務支店との協働で新ステーション整備も進行中である。ステーションを単なる受け取り場所ではなく「地域コミュニティの拠点」と位置づけ、地域住民の交流と利便性向上を両立する場として準備を進めており、すでに400人以上が利用を希望するなど期待も大きい。県内の他のJAとの連携も広がり、JAひだでは店舗閉店地域の買い物支援として宅配案内を協働で実施するなど、県域での協同の輪が確実に広がっている。
これらの取り組みを通じて見えてきたのは、「協同組合が手を取り合うことで地域は確実に変わる」という実感である。個々の事業効果にとどまらず、地域住民のつながりが再生し、世代を超えた交流が生まれ、農業と消費が近づく循環が芽吹きつつある。こうした小さな積み重ねこそが岐阜県全体、さらには日本や世界が抱える課題解決につながると確信している。今後も協同組合の強みである「人と人のつながり」を大切に、JAとともに笑顔あふれる地域づくりを進めていきたい。(コープぎふ事業改革推進部・渡辺憲市)
【報告③】JCA協同組合連携2部連携推進マネージャー・小島愛美
多様な連携広がる
日本協同組合連携機構(JCA)では協同組合間連携を6つの類型に整理している。
第1の「産消提携型」の事例には、JAながのと生活クラブによる「信州トマトジュース」での計画的労働参加がある。労働力不足に直面する長野県の加工用トマトの産地に対し、生活クラブは、組合員を年間計画のもと、繁忙期に現地に派遣し、定植・収穫に参加する取り組みを実施している。参加者が日給を受け取る有償の労働参加であり、その費用は商品価格にも反映されている点に特徴がある。
こうした持続可能な仕組みによって、生産者は安定した作付けを実現できる。一方、消費者は生産現場への理解と支え手意識を醸成している(1995年開始、延べ3210人参加)。このほか、JAあづみとコープながのの「ふれあい農園」もこの分類の事例となる。
第2の「事業連携型」には、みやぎ生協とAコープの共同店舗「A&COOP新松島店」、JA香川県とコープかがわの直売所と店舗の連携、JA鹿児島経済連とコープかごしまの協定を起点とする人事交流や共同商品開発の事例がある。
「A&COOP新松島店」では、従来は地域で競合関係にあった両組織が、経営資源を統合し、協力して地域への貢献をめざしたこと、香川県の事例では、トップ同士の信頼関係があったことに加え、各組織での役員と職員の意思疎通が、円滑な事業の推進につながっている。
第3の「地域連携型」としては、北海道のJAひがしかわとコープさっぽろによる買い物支援を目的とした移動販売、さらにいばらきコープと県内JA・社会福祉協議会が連携して運営する「ほぺたん食堂」がある。
ほぺたん食堂は、JAによる地元食材の提供に加え、学習支援や多世代交流を行う子ども食堂となっている。高校生ボランティアも参画することで、地域内の信頼関係と社会的価値を生む好循環を形成している。
第4の「学習会・イベント型」では、かがわ協同組合連絡協議会のラウンドテーブルによる話し合いから実践へとつなげた事例、第5の「災害支援型」では「信州農業再生復興ボランティアプロジェクト」、第6の「人材育成型」では協同組合ネット北海道の「就活サミット」(合同就職説明会)といった事例がある。
限られた資源の中で深刻化している地域課題を解決するためには連携の"チカラ"が必要である。取り組みにあたっては、ぜひ都道府県域の連携組織をプラットフォームとして積極的に活用いただきたい。(JCA協同組合連携2部連携推進マネージャー・小島愛美)
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