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JAの活動:JA全農新部長訪問

【JA全農 新部長訪問】三木純一園芸部長 将来の園芸事業を見据えて2021年12月17日

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園芸事業では今年度、東京青果との資本業務提携や物流改革を進めるなど、生産から流通、販売までの課題解決に力を入れてきた。8月に就任した三木純一新部長に園芸事業が今後めざす方向などを聞いた。

三木純一園芸部長三木純一 園芸部長

生産者のために

――部長として改めて園芸事業への思いを聞かせてください。

入会以来30数年、園芸の販売業務にたずさわってきました。「生産者のために」という思いは、今でも変わっていません。

現在の園芸事業を取り巻く環境は、生産者の高齢化や物流における「運べないリスク」の顕在化、天候不順等による価格の乱高下など、様々な課題に直面しています。

今後このような状況がより顕著になる恐れがあるため、生産者が安心して生産し出荷ができ、納得できる価格で販売ができるように流通の形をきちんと整えていく必要があります。それが生産者団体である全農の役割だと思います。

一方、消費者に対しては、国産の安全・安心な青果物を安定的に供給するという役割も担っており、そこもしっかりと考えていかなくてはなりません。

提携で課題解決を

――今年度実施した東京青果株式会社(以下、東京青果)と株式会社ファーマインド(以下、ファーマインド)との提携の狙いはどこにありますか。

東京青果との資本業務提携は、青果物流通が多様化しているものの卸売市場流通が未だ太宗を占めるわけですから、ここでしっかり連携することでそれぞれが抱えている課題を共有し、産地から出荷された商品が市場を通じてスムーズに川下のマーケットに流れることを目指そうということです。卸売市場との連携強化で市場流通をより強化し、生産者が再生産できる安定した価格での取引を目指していきたいと考えています。

販売面だけではありません。物流面でも連携しパレット輸送の拡大を進めて行きたいと思います。パレット輸送の拡大に向けては、産地から卸売市場まではJAグループで課題解決に向けた取り組みも可能ですが、市場に入荷した後、市場内での物流は市場でルールを決めてもらうしかありせん。その部分では東京青果に大田市場での取りまとめ役の機能を発揮してもらい、産地の抱えている課題やパレット輸送の実情を他の流通関係者にも理解してもらうよう連携をしていきます。

ファーマインドとの業務提携も物流の課題を解決することが大きな目的です。全国に物流拠点を持ちコールドチェーンの配送網を持つファーマインドと連携することで「運べないリスク」へ対応する狙いがあります。

同社の全国の拠点を活用し、産地から消費地への幹線物流と、消費地拠点から量販店などへ配送する消費地物流の両面で共同配送をおこなっていきます。直近では北部九州3県(長崎、佐賀、福岡)でファーマインドの福岡センターを産地ストックポイントとして県域を跨ぐ共同配送の実証試験を実施しました。積載率を上げてトラック台数を削減することで、コストダウン、さらにカーボンニュートラルにも貢献することになります。

このような仕組みを整備し、深刻化する物流問題への解決策として産地に対し提案をしていきたいと考えています。

冷凍野菜事業にも着手

――こうした取り組みをふまえた次期3ヵ年計画のポイントはどこになりますか。

生産振興対策として生産者の高齢化、担い手不足に対応するため、地域のJAと連携して一緒に法人を立ち上げる、すでにJAが出資している法人に対して全農も出資を行うなど、生産事業へのかかわり方についても検討を進めています。

また多様化する消費者ニーズへの対応として、埼玉県久喜市に冷凍工場を建設し国産の冷凍青果物事業に全農自ら取り組みます。そのほか加工・業務向け販売では全国チェーン展開している店舗などと直接取引できる受け皿をつくっていきたいと考えています。このような加工・業務用や久喜冷凍工場向けの専用産地を開発していくことを、先ほどの生産振興対策の端緒にしていきたいと思います。

また、産地貯蔵機能の整備も検討します。今まで青果物はその日のうちに出荷をするということが基本でしたが、あえて貯蔵機能を具備した施設を使用し、新しい販売スタイルの検討をします。その施設を活用することで産地からの出荷の波をコントロールし、消費地に向け計画的に商品を送り、契約取引の拡大につなげていきたいと考えています。

――生産振興については、今年度からリンゴですでに事業を展開していますね。

果樹の生産振興の取り組みとして、今年度から果樹の省力生産方式の導入・普及に向けたモデル園地での実証を開始しました。まずは青森・長野県のりんごの新わい化栽培、福岡県でのすもものジョイント栽培を皮切りに、今後複数県、複数品目で実証を行うこととしています。

省力化栽培で導入コストや栽培コストを抑えつつ、市場や消費者から求められるものを生産し、なんとか生産基盤の縮小を食い止めたいと考えています。

このように生産事業への取り組みも含め、次期3か年計画を念頭に、これまでにない園芸部門の事業を展開していく考えです。

(みき・じゅんいち)1964年1月生まれ。群馬県出身。成蹊大法学部卒。1987年入会。本所園芸部園芸開発課課長、営業開発部青果営業課課長、次長、園芸部次長などを経て2021年8月から現職。

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